不動産の媒介契約完全ガイド:プロが教える3つの契約タイプの選び方
この不動産会社だけに任せて大丈夫かな…
複数の会社に依頼したほうがいいのかな…
不動産売却では、売買の仲介役として不動産会社と媒介契約を結ぶ必要があります。この媒介契約には3つの種類があり、それぞれで不動産会社の義務や売主ができることが異なります。
一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約—
この3つの契約タイプの違いを理解していないと、ご自身の自由が制限されてしまうケースがあります。
本記事では、20年の実務経験をもとに、3つの媒介契約の特徴と選び方のポイントを、実例を交えて解説していきます。
媒介契約の基礎知識
媒介契約とは、不動産の売買を不動産会社に仲介してもらうための契約です。不動産会社は、売主に代わって買主を探し、価格交渉や契約準備などを行います。
それぞれの契約タイプの主な特徴を表にまとめてみました。
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このように、契約タイプによって売却活動の進め方が大きく変わります。例えば、専任媒介契約や専属専任媒介契約では、不動産会社から定期的に販売活動の報告を受けることができます。一方、一般媒介契約では、複数の不動産会社に依頼できる代わりに、不動産会社には報告義務がありません。
3つの媒介契約の詳細
一般媒介契約とは
一般媒介契約は、複数の不動産会社に同時に依頼できる契約です。他の契約と比べて売主の自由度が最も高く、以下のような特徴があります。
■主な特徴
複数の不動産会社に同時に依頼可能
自分で買主を見つけることができる
契約期間の制限なし
レインズ(不動産情報流通機構)への登録義務なし
■メリット
より多くの不動産会社を通じて買主を探せる
不動産会社ごとの得意分野を活かせる
レインズ登録が任意のため、売却を非公開にできる
自己発見取引が可能
■デメリット
不動産会社からの販売活動報告が義務付けられていない
各社の活動状況が把握しづらい
不動産会社が積極的に動かないことがある
専任媒介契約とは
専任媒介契約は、1社の不動産会社に専任で売却活動を任せる契約です。不動産会社の義務が明確で、以下のような特徴があります。
■主な特徴
1社のみと契約可能(他社への依頼は不可)
自分で買主を見つけることができる
契約期間は3ヶ月以内
契約から7日以内にレインズ登録が必要
■メリット
不動産会社が積極的に販売活動を行う
2週間に1回以上の販売活動報告がある
レインズ登録により幅広い客層にアプローチできる
自己発見取引が可能
■デメリット
他の不動産会社に依頼できない
契約した会社の販売力が低いと、売却機会を逃す可能性がある
「囲い込み」をする業者に注意が必要
※囲い込み:不動産会社が自社で売買を完結させるため、情報を制限したり操作したりする違法行為
専属専任媒介契約とは
専属専任媒介契約は、3つの契約タイプの中で最も不動産会社の義務が強く、売主の行動にも制限がある契約です。以下のような特徴があります。
■主な特徴
1社のみと契約可能(他社への依頼は不可)
自分で買主を見つけることはできない
契約期間は3ヶ月以内
契約から5日以内にレインズ登録が必要
■メリット
不動産会社が最も積極的に販売活動を行う
1週間に1回以上の販売活動報告がある
レインズ登録により、より多くの不動産会社からの紹介が期待できる
不動産会社のサポートが手厚い
■デメリット
他の不動産会社に依頼できない
良い条件の買主を自分で見つけても、必ず不動産会社を通す必要がある
「囲い込み」のリスクがある
※専任媒介契約と同様、情報操作には注意が必要
媒介契約の選び方
売却する物件の状況や、ご自身の希望に応じて、最適な契約タイプは変わってきます。以下のポイントを参考に、契約タイプを選択しましょう。
一般媒介契約が適している場合
・人気エリアの物件で、早期売却よりも高値売却を優先したい
・売却を急いでいない
・自分でも積極的に買主を探したい
・売却中であることを極力公開したくない
専任媒介契約が適している場合
・不動産会社の販売力を生かしつつ、自分でも買主を探したい
・ある程度の期間内での売却を目指している
・定期的な販売状況の報告が欲しい
・信頼できる不動産会社が見つかっている
専属専任媒介契約が適している場合
・できるだけ早期の売却を目指している
・不動産取引の知識や経験が少なく、プロに全て任せたい
・頻繁な経過報告が欲しい
・売却活動に自分であまり関わる時間がない
まとめ:媒介契約の選び方のポイント
不動産売却における媒介契約の選択は、売却活動の進め方を大きく左右する重要な決断です。以下のポイントを押さえて、ご自身の状況に合った契約タイプを選びましょう。
契約タイプ選択の3つの基準
売主の関与
自分でも買主を探したい場合は、一般媒介契約か専任媒介契約
販売状況の把握
定期的な報告が必要な場合は、専任媒介契約か専属専任媒介契約
不動産会社の動き
積極的な販売活動を期待する場合は専属専任媒介契約
契約前の確認事項
・契約期間(専任・専属専任の場合は3ヶ月以内)
・不動産会社の具体的な販売計画
・報告のタイミングと方法
・契約更新の条件
本記事が、不動産売却をご検討中の皆様のお役に立てれば幸いです。
MEISA 明紗は、千葉県流山市を拠点におく不動産会社です。
土地・古屋付土地・収益物件・事業用不動産に特化した売却サポートを行っています。
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