不動産売却のトラブルは「契約前」に防ぐ!プロが実践するリスク回避のための書面化戦略

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不動産売却
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「知らなかった」では済まされない不動産売却の法的リスク


不動産売却が無事に完了し、数年が経過したある日、突然「買主」の代理人を名乗る弁護士から内容証明郵便が届く――。これは、決してドラマの中だけの話ではありません。売買契約書の一文、あるいは物件状況報告書の記載一つが、将来的に高額な損害賠償請求や契約解除といった深刻なトラブルに発展する可能性を秘めているのです。

不動産取引におけるトラブルの根源は、そのほとんどが契約前の「確認不足」「説明不足」「書面化の不足」にあります。「言った、言わない」「聞いていない」といった水掛け論は、一度始まると解決が極めて困難になります。

そこで本記事では、売却の最終局面において、将来起こりうるあらゆる法的リスクを未然に防ぎ、売主様が心から安心して取引を終えるための「プロの書面化戦略」について、MEISA(明紗)が蓄積してきた実務経験に基づき、徹底的に解説いたします。

なぜ「標準契約書」だけでは危険なのか?特約が持つ本当の力

不動産売買では、一般的に業界団体が作成した「標準売買契約書」の雛形が使用されます。しかし、これはあくまで汎用的なものであり、個々の不動産が持つ特有のリスクまでをカバーするものではありません


そこで重要になるのが、当事者間の合意に基づいて追加される「特約」の存在です。特約こそが、売主様を予期せぬリスクから守るための強力な盾となります。

MEISA(明紗)が「この特約は必須」と判断する3つの実例

ケース1:築古物件を売却する場合


築年数が経過した物件では、目に見えない部分に不具合が潜んでいる可能性があります。

そのため、「本物件は建築後の経年変化および使用による損耗等が存在する現状有姿にて引き渡し、売主は雨漏り、シロアリの害、構造上主要な部位の木部の腐食、給排水管の故障について、契約不適合責任を負わない」といった特約は、もはや必須と言えます。

これにより、引渡し後に発見された不具合に対する売主様の責任を限定します。



ケース2:境界が未確定の土地を売却する場合


隣地との境界が曖昧な土地は、将来のトラブルの火種です。買主が境界確定を求めない場合は、「売主は隣地所有者との境界について明示する義務を負わず、買主は現況を了承の上、本物件を買い受けるものとする」という特約を設けます。

もし買主が確定測量を希望するなら、その費用負担者や実施時期を明確に特約で定めておくことが不可欠です。



ケース3:相続した物件で、過去の状況が不明な場合


売主は本物件を相続により取得したため、過去の修繕履歴や付帯設備の状況等について詳細を了知しておらず、物件状況報告書は売主が現在把握している範囲で記載したものである」という特約も重要です。

これにより、売主様が知り得なかった過去の事象についてまで、責任を追及されるリスクを低減させることができます。

最強のリスクヘッジツール「物件状況報告書」の戦略的作成術

「物件状況報告書(告知書)」は、単に不具合をリストアップする書類ではありません。


これは、売主様が知っている情報をすべて開示することで、後々のクレームに対する「反論の証拠」となる、極めて重要なリスクヘッジツールなのです。

「告知すべきか迷ったら、必ず告知する」が大原則

この書類を作成する上での鉄則は、ただ一つ。「少しでも気になること、迷うことがあれば、必ず記載する」ことです。


たとえそれが買主にとってマイナスな情報であっても、正直に告知することで、法的には「買主はその事実を理解・納得した上で購入した」ことになり、売主様の立場は格段に強くなります。

多くの売主が見落とす「告知すべき重要事項」

設備の不具合以外にも、告知すべき項目は多岐にわたります。


・近隣との関係性:

「隣の家の犬が夜間に鳴くことがある」「町内会の役員が輪番制である」など、生活する上で影響がありそうな申し合わせや習慣。


・周辺環境:

「近隣で過去に火災があった」「前面道路の交通量が朝夕に多い」など、物件そのものではなくとも、住環境に関わる情報。


・心理的要因:

敷地内での過去の事件・事故はもちろんのこと、近隣で起きた事件であっても、買主が不安に思う可能性があることは記載を検討すべきです。


・土地に関する情報:

「過去に土地の一部が浸水したことがある」「擁壁に小さなひび割れがある」など、土地に関する履歴や現状。

これらの情報を正確に開示することは、一見不利に見えるかもしれませんが、誠実な姿勢を示すことで買主の信頼を得て、かえってスムーズな取引につながることも少なくありません。

すべての約束事を「一本の線」で結ぶ、プロの交渉・管理術

不動産売却の最終局面では、①購入申込書の内容、②売買契約書の特約、③物件状況報告書(告知書)という3つの重要な書面が登場します。


これらは個別に存在するのではなく、すべてが密接に関連し合っています。プロの不動産会社は、これらの内容に矛盾が生じないよう、一本のタイムライン上で管理・交渉を進めます。

書面間の「矛盾」がトラブルを招く

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例えば、以下のようなケースを考えてみましょう。


・悪い例:

 購入申込書では「引渡しは1ヶ月後」となっているのに、契約書の特約で「引渡しまでに売主の費用で境界確定測量を行う」と定めてしまった。
→ 測量は通常2〜3ヶ月かかるため、この契約は物理的に履行不可能です。これは、売主の契約違反(債務不履行)となり、違約金の問題に発展しかねません。


・良い交渉・管理:

買主から境界確定測量の要望が出た時点で、不動産会社は「測量には約3ヶ月を要するため、引渡し時期を3ヶ月後に変更いただくことが条件となります」と交渉します。そして、合意した内容を購入申込書、契約書の両方に正確に反映させるのです。


このように、売主様の希望、買主の要望、そして物理的な制約をすべて整理し、矛盾のない形で契約条件をまとめ上げ、実行可能なスケジュールを組むことが、専門家である不動産会社の腕の見せ所なのです。

MEISA(明紗)が提供する不動産売却サービス

不動産の売却を検討する際、「どのように売ればよいのか」「信頼できる相談先はあるのか」と悩む方は少なくありません。

そうした不安を解消するために、私たちはお客様の大切な資産に寄り添った売却支援を行っています。


住宅、マンション、土地、商業施設など、それぞれの不動産が持つ特性を理解し、的確な対応と経験に基づいた判断でサポートいたします。

専門的な査定と価格根拠の明示

査定では、周辺の取引実績や地価動向はもちろんのこと、物件の状態、立地条件、法的制限なども加味して詳細に調査を行います。また、AIを活用した客観的な価格分析を導入しており、「なぜこの価格になるのか」をしっかり説明できる体制を整えています。


単なる相場感に頼らず、納得できる根拠ある査定価格を提示することを大切にしています。

仲介と即時買取の柔軟な対応

売却方法についても、お客様のご事情に応じて仲介と即時買取の両方に対応しています。


「時間をかけてでも高く売りたい」といったケースでは、広告や交渉を通じた仲介売却を。


「できるだけ早く現金化したい」「誰にも知られず売却したい」といったご希望には、当社による即時買取をご提案可能です。


柔軟に対応できる仕組みがあることで、お客様にとって最善の選択肢を一緒に考えることができます。

少数精鋭体制による一貫したサポート

不動産の売却は、案件ごとに状況が異なるため、柔軟かつ的確な対応が求められます。当社では最初の相談から成約まで、経験豊富な担当者が一貫して対応し、安心して任せていただけるよう努めています。


担当者が変わらず、スピーディで丁寧なやり取りが可能な点も、多くのお客様から評価をいただいています。


どのような不動産であっても、それぞれに特有の事情や条件があります。複雑な条件や個別の事情にしっかり寄り添いながら、確実な売却につなげるサポートを提供しています。

まとめ

不動産売却におけるトラブルは、物件の欠陥そのものよりも、契約前の「詰めの甘さ」や「書面化の不足」によって引き起こされることが大半です。

売買契約書の「特約」や「物件状況報告書」は、単なる手続き上の書類ではありません。これらは、売主様の法的責任範囲を明確にし、将来の予期せぬリスクから身を守るための、極めて重要な「法的防御壁」なのです。これらの書面を戦略的に作成し、活用することこそが、真の意味で「安心・安全な不動産売却」を実現する鍵となります。

合同会社明紗は、お客様一人ひとりの不動産が持つ固有のリスクを事前に丁寧に分析し、最適な書面化戦略をご提案することで、トラブルのない円満な取引の実現をサポートいたします。複雑な権利関係や特殊な事情を抱える不動産の売却こそ、私たちの専門性が最も活かされる領域です。ぜひ一度、お気軽にご相談ください。

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MEISA 明紗 - 不動産売却サポート


本記事が、不動産売却をご検討中の皆様のお役に立てれば幸いです。

  • MEISA 明紗は、千葉県流山市を拠点におく不動産会社です。

土地・古屋付土地・収益物件・事業用不動産に特化した売却サポートを行っています。

売却仲介と買取、2つの選択肢をご用意し、売却価格の根拠から市場環境まで、判断に必要な情報を分かりやすくご説明いたします。

市場の最前線で日々、様々な売却ケースに向き合う中で得られた知見を、今後も定期的に発信してまいります。

売却に関する様々なご相談を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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