不動産売却にかかる費用の完全ガイド|予想外の出費を防ぐためのポイントも解説
不動産を2,000万円で売却できたのに、手元に残ったのは1,500万円だけ...
このような予想外の事態に陥らないために、売却前に知っておくべき重要な情報があります。実は、不動産売却では売却価格の20%もの費用が必要になることも。
特に初めて不動産を売却する方は、必要な費用の全体像が見えにくく、予想以上の出費に驚かれるケースが非常に多いのです。
以下のようなも
「仲介手数料以外にもこんなにお金がかかるとは...」
「売却が決まる前に、いくつもの費用を支払う必要があって焦った」
「もっと早く知っていれば、資金計画が違っていたのに...」
この記事では、不動産売買経験を基に、不動産売却にかかる費用の全体像をわかりやすく解説します。
さらに、賢く費用を抑えるための具体的な方法もご紹介。売却前の計画づくりに、ぜひお役立てください。
不動産売却時に発生する費用の全体像
不動産売却時に発生する費用一覧
主な費用は以下の通りです。
売却前に必要な費用
・ハウスクリーニング費用(3万円~15万円)
・土地測量費用(40万円~100万円)
・建物解体費用(必要な場合:100万円~300万円)
売買契約時に必要な費用
・印紙税(1,000円~6万円:売買価格により変動)
・仲介手数料の一部(残金は決済時)
所有権移転時に必要な費用
・残りの仲介手数料
・抵当権抹消費用(1,000円、司法書士依頼時1万円~5万円)
・住宅ローン完済手数料(5,000円~3万円)
売却後に必要な費用
・譲渡所得税・住民税
短期譲渡:39.63%(所得税30.63%、住民税9%)
長期譲渡:20.315%(所得税15.315%、住民税5%)
費用名 | 金額明細 | 支払期限 |
仲介手数料 | ・400万円超 売買価格(税抜)の3%+6万円+消費税が上限 ・200万~400万円以下 売買価格(税抜)の4%+2万円+消費税が上限 ・200万円以下 売買価格(税抜)の5%+6万円+消費税が上限 |
売買契約時と決済時 |
印紙税 | 1,000円~6万円 (売買価格により変動) |
売買契約書の作成時 |
抵当権抹消費用 | 1,000円 (司法書士に依頼する場合1万∼5万円) |
所有権移転登記時 |
住宅ローン返済手数料 | 5,000円~3万円 | ローンの返済時 |
譲渡所得税・住民税 | 短期譲渡所得税額 = 39.63% (所得税30.63%、住民税9%) 長期譲渡所得税額 = 20.315% (所得税15.315%、住民税5%) |
確定申告後 |
土地測量費 | 40万~100万円 | 土地測量の実施後 |
建物解体費 | 100~300万円 | 建物の解体後 |
ハウスクリーニング費 | 3万~15万円 | ハウスクリーニング実施後 |
法務局必要書類発行費 | 300円/枚 程度 | 書類発行時 |
主要な費用の詳細解説
大きな支出の1つである仲介手数料
不動産売却における大きな経費である「仲介手数料」。仲介手数料の上限額は法律で定められており、以下のように売却価格によって変動します。
400万円超の場合
・売買価格(税抜)の3%+6万円+消費税
例)2,000万円の物件の場合:
最大726,000円(2,000万円×3%+6万円+消費税)
200万円~400万円の場合
・売買価格(税抜)の4%+2万円+消費税
200万円以下の場合
・売買価格(税抜)の5%+6万円+消費税
ただし、これはあくまで上限額。実際の手数料は不動産会社との交渉により、この金額以下に抑えることも可能です。
見落としがちな税金関連費用
税金関連の費用は、売却後の利益に大きく影響を与えます。
印紙税
・売買契約書作成時に必要な税金
・売買価格により1,000円~6万円と大きく変動(一般的な住宅を想定)
・売主・買主でそれぞれ契約書に貼付が必要
譲渡所得税・住民税
所有期間により税率が大きく変わる重要な費用
・5年超の長期所有:20.315%
・5年以下の短期所有:39.63%
※3,000万円特別控除等の特例を利用できる場合も
その他の費用
土地測量費用
・正確な境界確定のために必要
・広さや複雑さにより40万円~100万円
・古い測量図しかない場合は必須
建物解体費用
・更地での売却時に必要
・建物の大きさにより100万円~300万円
・アスベスト等の有無で追加費用の可能性
ハウスクリーニング費用
・物件の状態や広さにより3万円~15万円
・内見前の印象アップに重要
・エアコンや水回りなど細かい箇所の清掃も含む
売却費用を賢く抑えるための3つの方法
各種補助金・特例制度を活用する
条件によっては様々な補助金や特例が利用できます。
税制上の特例制度を理解し活用する
売却時の税負担を軽減できる主な特例制度。
・居住用財産の3,000万円特別控除
売却前に実際に居住していた家であること
過去に3,000万円特別控除を使用していないこと
確定申告が必要
・特定の居住用財産の買換え特例
居住用財産を売却し、新たな居住用財産を購入する場合
売却価格が1億円以下であること
売却の年の前年から翌年までに買換えること
買換え先の条件:
建物の床面積が50平方メートル以上
土地の面積が500平方メートル以下
・被相続人の居住用財産の特例
令和9年12月31日までの譲渡が対象
昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却
相続時から売却時まで事業や貸付けに使用していないこと
更地にして売却可能(令和6年1月1日以後の譲渡では、買主が翌年2月15日までに取り壊す場合も可)
令和6年1月1日以後の譲渡で相続人が3人以上の場合、特別控除額は2,000万円
相見積もりで費用を最適化する
必ず相見積もりを取るべき主な費用。
・測量費用
業者により最大で20~30万円の差
測量方法や成果物の違いもチェック
近隣の測量実績のある業者がおすすめ
・解体費用
廃材の処理方法で大きく変動
アスベスト調査の要否も要確認
工期の違いにも注目
・ハウスクリーニング
清掃箇所の細かい確認が重要
作業内容の保証の有無
追加料金が発生する条件の確認
適切なタイミングで売却する
売却のタイミングを工夫することで、様々な費用を最適化できます。
・解体費用の抑制
建物の状態が良ければ、解体せずに売却することも検討
買主が自己都合で解体する場合もある
・季節による費用変動の考慮
清掃や外構工事は季節により費用が変動
繁忙期を避けることで、比較的安価に実施可能
失敗しないための資金計画
売却代金を受け取る前に必要な支払い
不動産売却では、売却代金を受け取る前に様々な費用の支払いが必要になります。具体的な流れを見ていきましょう。
内見準備の段階で必要な費用
・ハウスクリーニング費用:3万円~15万円
・不要物の処分費用:状況により数万円~数十万円
・簡易的な補修費用:必要に応じて
引き渡しまでに必要な費用
交渉により残代金での支払いが可能
・土地測量費用:40万円~100万円
※境界確定が必要な場合
・建物解体費用:100万円~300万円
※更地売却の場合
売却資金計画の立て方
資金計画を立てる際の重要ポイント
必要資金の算出
・上記の費用を全て洗い出す
・それぞれの費用の相場を確認
・最大額で見積もって予算化
支払い時期の確認
・費用ごとの支払い時期を把握
・売却代金の受け取り時期との時差を確認
・必要に応じて一時的な資金確保を検討
予備費の確保
・想定外の費用に備え、余裕を持った資金計画を
・補修や追加工事が必要になるケースも
・全体の10~20%程度は予備費として確保
まとめ:不動産売却を成功させるためのポイント
事前の準備が売却成功の鍵
不動産売却における費用は、適切な準備と理解があれば、困るような事態に陥ることはありません。
以下の3点を特に意識することで、スムーズな売却が実現できます:
早めの資金計画
・売却代金受け取り前の支出を把握
・必要な費用の総額を事前に算出
・予備費を含めた資金の確保
税制特例の確認
・居住用財産の3,000万円特別控除
・買換え特例
・被相続人の居住用財産の特例など、適用可能な特例の事前確認
専門家への相談
・不動産の売却は多岐にわたる専門知識が必要
・税務や法務の専門家にも必要に応じて相談
・経験豊富な不動産会社に早めに相談することで、想定外の事態を防止
最後に
不動産売却の費用は、物件の状況や取引条件によって大きく変動します。そのため、具体的な費用については、必ず専門家に相談することをお勧めします。
早めの準備と適切な情報収集が、スムーズな売却の実現につながります。
本記事の内容が、あなたの不動産売却の参考になれば幸いです。不安な点がありましたら、まずは信頼できる不動産会社に相談してみましょう。
本記事が、不動産売却をご検討中の皆様のお役に立てれば幸いです。
- MEISA 明紗は、千葉県流山市を拠点におく不動産会社です。
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売却仲介と買取、2つの選択肢をご用意し、売却価格の根拠から市場環境まで、判断に必要な情報を分かりやすくご説明いたします。
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