相続不動産の売却完全ガイド|手続きの流れから税金まで徹底解説

query_builder 2023/08/05
不動産売却
相続不動産を売却する流れ

切な家族を失った後の相続。その中でも不動産の相続は、手続きの複雑さや費用面での不安から、多くの方が悩みを抱えています。特に「相続した不動産を売却したい」と考えたとき、どこから手をつければよいのか迷われる方が非常に多いのが現状です。


本記事で、相続不動産の売却にまつわるすべての疑問にお答えします。相続の発生から売却完了まで、必要な手続きや注意点を徹底解説します。


相続不動産の売却で直面する3つの課題

相続人間での合意形成の難しさ

相続不動産の売却で最も難しいのが、相続人全員の合意を得ることです。実務経験から見ても、多くのケースで相続人間での意見の相違が発生しています。


例えば、あるご家族の事例では、4人の相続人のうち、2人は「思い出の実家だから保存したい」、1人は「売却して現金化したい」、もう1人は「賃貸活用したい」と、それぞれ異なる意見を持っていました。

このように、相続人一人一人の考え方や経済状況によって、不動産の活用方法への希望が分かれることは珍しくありません。

想定外の費用と手間

相続不動産の保有には、多くの方が想像する以上の費用と手間がかかります。

固定資産税:評価額の1.4%(年間)
都市計画税:評価額の0.3%(年間)
維持管理費:場合によりますが、時間と手間が負担になっている場合が多いようです

複雑な手続きと必要書類の準備

相続不動産の売却には、通常の不動産売却以上に多くの書類と手続きが必要です。


主な必要書類:
・遺産分割協議書
・相続人全員の印鑑証明書
・被相続人(故人)の出生から死亡までの戸籍謄本一式
・相続人全員の住民票
・固定資産評価証明書
・登記事項証明書

これらの書類をすべて揃えるだけでも、相当の時間と労力が必要です。

特に戸籍謄本の収集は、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍が必要となるため、手続きが複雑になりがちです。

相続不動産を売却するまでの具体的な流れ【図解付き】

相続不動産を売却するまでの具体的な流れ【図解付き】

相続不動産の売却は、「相続手続き」と「売却手続き」の2つのプロセスを同時に進めていく必要があります。

ここでは、時系列に沿って具体的な流れを解説していきます。

STEP1:相続の発生から遺産分割協議まで

相続は被相続人(故人)の死亡によって開始します。このとき、まず以下の対応が必要です。

1.相続人の確定
・法定相続人の調査
・相続放棄の有無確認
・遺言書の有無確認

2.相続財産の調査
・不動産の評価額確認
・被相続人名義の預貯金調査
・負債の有無確認

3.遺産分割協議の実施
・相続人全員での話し合い
・不動産の活用方法の決定
・相続割合の決定

【実務上の重要ポイント】
遺産分割協議は、できるだけ早い段階で開始することをお勧めします。相続開始から時間が経過するほど、相続人間の意見調整が難しくなる傾向があります。また、相続税の申告期限(相続開始から10ヶ月以内)も考慮する必要があります。

STEP2:相続登記の完了まで

相続登記は、不動産の所有権を相続人に移転する重要な手続きです。具体的な手順は以下の通りです。

1.必要書類の収集
・遺産分割協議書(相続人全員の実印押印必要)
・相続人全員の印鑑証明書
・戸籍謄本一式(被相続人の出生から死亡まで)
・不動産の登記事項証明書
・固定資産評価証明書

2.登記申請
・法務局への申請
・登録免許税の納付(不動産評価額×0.4%)
・申請から完了まで約2週間程度

【注意点】
2024年4月現在、相続登記は相続発生から6ヶ月以内の申請が法律で義務付けられています。これを怠ると過料の対象となる可能性があります。

STEP3:不動産売却の準備と実施

相続登記が完了したら、いよいよ売却活動に入ります。

1.不動産業者の選定
・相続不動産の取扱実績
・地域の相場情報
・営業履歴や口コミの確認

2.売却準備
・物件の価格査定
・残置物の整理
・必要に応じた簡易リフォーム

3.販売活動
・売出価格の決定
・物件写真撮影
・広告掲載開始

【売却のコツ】
相続不動産の場合、建物の状態が良くないケースも多いため、「現状渡し」での売却も選択肢の一つです。ただし、その場合は適切な価格設定が重要になります。

相続不動産に関わる税金の完全ガイド

相続不動産に関する税金は、「相続時」「保有時」「売却時」の3つのタイミングで発生します。

ここでは、それぞれの段階での税金について、具体的な計算例を交えて解説していきます。

相続時に発生する税金

①相続税

相続税は、以下の計算式で課税対象となる金額を算出します。


課税対象額 = 相続財産の評価額 - 基礎控除額

基礎控除額 = 3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)


【具体例】
評価額5,000万円の不動産を、配偶者と子供2人(計3人)で相続する場合:

基礎控除額:3,000万円 + (600万円 × 3人) = 4,800万円
課税対象額:5,000万円 - 4,800万円 = 200万円

このケースでは、200万円に対して相続税率(10%~50%の累進課税)が適用されます。


②登録免許税

相続登記の際に必要な税金です。
・税率:不動産評価額 × 0.4%
・評価額3,000万円の場合:12万円

保有時にかかる税金と諸費用

①固定資産税・都市計画税
毎年1月1日時点での所有者に課税される税金です。


年間固定資産税 = 固定資産評価額 × 1.4%
年間都市計画税 = 固定資産評価額 × 0.3%


【具体例】
評価額3,000万円の不動産を保有する場合の年間負担:

固定資産税:42万円
都市計画税:9万円
合計:51万円(月額約4.25万円)


②維持管理費用

税金ではありませんが、以下のような費用が定期的に発生します。
・火災保険料:年間2~5万円
・建物メンテナンス費:年間数30万円
・庭木の手入れ:年間数万円

売却時に発生する税金

譲渡所得税
不動産の売却益に対して課税される税金です。


譲渡所得 = 売却価格 - (取得費 + 譲渡費用)


【税率】
・被相続人の所有期間5年超:20.315%
・被相続人の所有期間5年以内:39.63%

税金対策のポイント

1.相続税の節税対策
・配偶者の税額軽減特例の活用
・小規模宅地等の特例の検討
・相続時精算課税制度の活用


2.売却時の特例措置
・被相続人居住用家屋の譲渡所得特例
・空き家の譲渡所得特例
・3,000万円特別控除の活用

3.保有時の費用削減
・固定資産税の軽減措置の確認
・空き家管理サービスの利用検討
・建物の定期点検による予防保全

【重要な注意点】
これらの税金計算や特例の適用には、複雑な要件や期限があります。必ず税理士等の専門家に相談するようにしてください。

相続不動産の売却を成功させるためのチェックリスト

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相続不動産の売却を円滑に進めるため、段階ごとに確認すべきポイントをチェックリスト形式でまとめました。

このリストを活用することで、重要な手続きの見落としを防ぎ、スムーズな売却を実現できます。

相続発生直後にすべきこと

□ 相続人の確定
・法定相続人の確認
・相続放棄の意思確認
・遺言書の有無確認

□ 必要書類の収集開始
・被相続人の戸籍謄本一式の取得
・相続人全員の戸籍謄本・住民票の取得
・不動産の登記事項証明書の取得

□ 相続財産の調査
・不動産の評価額確認
・固定資産税評価証明書の取得
・金融機関への残高照会

【注意点】
相続の開始を知った日から3ヶ月以内に相続放棄をする場合は、家庭裁判所への申述が必要です。期限を過ぎると相続を承認したものとみなされます。

売却までの準備事項

□ 遺産分割協議の実施
相続人全員の意向確認
不動産の活用方法の決定
遺産分割協議書の作成と押印

□ 相続登記の準備
必要書類の確認と収集
登録免許税の計算
司法書士への依頼検討

□ 売却準備
建物の現況調査
残置物の整理計画策定
リフォームの要否判断


【実践的アドバイス】
遺産分割協議は、できるだけ早い段階で開始することをお勧めします。相続開始から時間が経過するほど、相続人間の意見調整が難しくなる傾向があります。

専門家に相談するべきポイント

□ 税理士への相談
相続税の概算計算
適用可能な特例の確認
売却時の税金シミュレーション

□ 不動産業者への相談
物件価値の査定
売却までの所要期間の確認
売却戦略の立案

□ 司法書士への相談
相続登記の手続き
必要書類の確認
登記費用の確認

よくある失敗事例と対策

失敗例1:相続人の見落とし
死亡した時点の相続人を確認せず、売却手続きを進めてしまい、後から別の相続人が判明するケース。


対策
・戸籍謄本を出生から死亡まで漏れなく収集
・法定相続人を専門家と確認
・相続関係説明図の作成

失敗例2:勝手な売却交渉
一部の相続人だけで売却交渉を進め、後から他の相続人との調整が難航するケース。


対策
・売却前に必ず相続人全員の同意を得る
・重要な決定は書面で残す
・定期的に相続人全員に進捗を報告

失敗例3:税金対策の不備
売却益の税金を考慮せず、予想以上の税負担が発生するケース。


対策
・事前に税理士に相談
・譲渡所得税の概算を計算
・適用可能な特例措置の確認

最後に:成功のための3つのポイント

早めの行動開始
相続発生後、できるだけ早く必要な手続きを開始することが重要です。特に相続登記は法定期限(6ヶ月以内)があります。


専門家の活用
税務・法務・不動産、それぞれの分野の専門家に相談することで、スムーズな売却が実現できます。


こまめな情報共有
相続人全員での情報共有を徹底し、後々のトラブルを防ぎましょう。


以上で、相続不動産売却の完全ガイドを終わります。このガイドが、相続不動産の売却でお悩みの方々のお役に立てれば幸いです。具体的なご相談は、ぜひ専門家にお寄せください。

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MEISA 明紗 - 不動産売却サポート


本記事が、不動産売却をご検討中の皆様のお役に立てれば幸いです。

MEISA 明紗は、千葉県流山市を拠点におく不動産会社です。

土地・古屋付土地・収益物件・事業用不動産に特化した売却サポートを行っています。

売却仲介と買取、2つの選択肢をご用意し、売却価格の根拠から市場環境まで、判断に必要な情報を分かりやすくご説明いたします。

市場の最前線で日々、様々な売却ケースに向き合う中で得られた知見を、今後も定期的に発信してまいります。

売却に関する様々なご相談を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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