【プロが解説】不動産買取と仲介売却の徹底比較 ~最適な売却方法の選び方~

query_builder 2023/01/12
不動産売却
【プロが解説】不動産買取と仲介売却の徹底比較 ~最適な売却方法の選び方~

不動産を売却しようとお考えの方にとって、最初の重要な判断となるのが売却方法の選択です。主な選択肢として「不動産会社による買取」と「仲介による売却」がありますが、それぞれにメリット・デメリットがあり、物件の状況や売主様のご事情によって最適な方法が変わってきます。


私は不動産業界で、数多くの売却案件に携わってきましたが、近年特に「不動産買取」についての問い合わせが増えています。その背景には、売却期間の短縮や手続きの簡素化を求めるニーズの高まりがあります。


しかし、だからといって全ての方に不動産買取がお勧めできるわけではありません。この記事では、不動産の売却を検討されている方に向けて、買取と仲介それぞれの特徴を分かりやすく解説し、ご自身の状況に合った最適な売却方法を見つけるためのポイントをお伝えしていきます。


不動産買取とは

不動産買取とは、不動産会社が直接物件を購入する方法です。

一般的な不動産取引では、不動産会社は売主と買主の間に立って仲介役を務めますが、買取の場合は不動産会社自身が買主となります。

買取と仲介の基本的な違い

両者の最も大きな違いは、取引の進め方にあります。


仲介売却の場合
・不動産会社が物件を市場に公開
・買主を探すための広告活動を実施
・購入希望者の内覧対応
・条件交渉を経て売買契約成立

買取の場合
・不動産会社による物件調査
・買取価格の提示
・売主様の承諾後、即座に売買契約可能
・市場公開や内覧などの手続き不要

取引までの期間の違い

仲介売却の場合、物件の状態や市場環境にもよりますが、一般的に契約成立まで2~3ヶ月、決済までを含めると3~4ヶ月程度かかることが多いです。一方、買取であれば最短で2週間程度での取引完了も可能です。


これは、買主を探す必要がなく、不動産会社との直接取引となるためです。特に物件調査が順調に進めば、価格提示から契約、決済までをスピーディーに進めることができます。

不動産買取が特に有効な6つのケース

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不動産買取は、特定の状況下において非常に効果的な売却方法となります。

経験上、以下の6つのケースで特に有効性を発揮すると考えています。

即時売却が必要な場合

以下のような緊急性の高いケースでは、買取による売却が最適な選択となることが多いです。

・住宅ローンの返済に困難が生じている
・相続税の納付期限が迫っている
・急な転勤や入院で早急な資金が必要

買取であれば最短2週間程度での資金化が可能なため、時間的制約の厳しい状況でも柔軟な対応が可能です。

確実な価格設定を求める場合

仲介売却の場合、最終的な売却価格は市場の動向や買主との交渉次第で変動する可能性があります。一方、買取では、
・査定後に具体的な買取価格を提示
・提示価格での取引が確約される
・価格の値下げ交渉がない

このため、住み替えなど、予算を明確に設定したい場合に特に有効です。

実際の取引でも、この「価格の確実性」を重視して買取を選択されるケースが増えています。

プライバシーを重視する場合

一般的な仲介売却では、以下のような販売促進活動が必要となります。
・インターネットでの物件公開

・チラシやポスティング
・近隣への挨拶
・内覧会の実施

一方、買取の場合はこれらの活動が一切不要です。

離婚や経済的な事情など、売却を近隣に知られたくない場合には、買取による売却が最適な選択となります。

手続きの簡素化を求める場合

仲介売却では、売主に以下のような対応が求められます。
・物件の清掃や補修
・残置物の処分
・複数回の内覧対応
・各種書類の準備

一方、買取では多くの場合、
・現状のままでの売却が可能
・残置物の処分も買主負担で対応可能
・内覧は実質1回のみ
・必要書類も最小限

特に遠方にお住まいの方や、高齢の方にとって、この手続きの簡素化は大きなメリットとなります。

実務では「実家の処分を遠方から行う必要がある」というケースでも、買取なら安心して任せられるとご好評いただいています。

リスク回避を重視する場合

不動産取引において、引き渡し後のトラブルは売主様にとって大きな負担となります。


一般的な仲介売却では、
・引き渡し後の契約不適合責任が発生
・想定外の補修要請の可能性
・契約解除リスクの存在

買取の場合は、
・多くの場合、瑕疵担保責任が免除
・契約成立後の解除リスクがない
・追加費用請求のリスクも最小限

特に築年数の古い物件や、状態に不安のある物件の場合、このリスク回避の観点から買取を選択されるケースが増えています。

スケジュールの確実性を求める場合

住み替えや建て替えを検討されている方にとって、売却時期の確実性は非常に重要です。


買取では、
・決済日を売主様の希望に合わせて設定可能
・引き渡し時期の柔軟な調整が可能
・契約から決済までのスケジュールが確実

例えば、「新居の引き渡しに合わせて現在の住居を売却したい」「建て替えのために更地にして売却したい」といったケースでも、買取なら売主様のご希望に沿ったスケジュール調整が可能です。

このように、買取は特定の状況において非常に効果的な売却方法となります。ただし、これはあくまでも買取が「有効な選択肢となるケース」であり、全ての方に買取をお勧めするわけではありません。次のセクションでは、買取のデメリットについても詳しくご説明していきます。

不動産買取のデメリット

不動産買取には、前述のようなメリットがある一方で、考慮すべき重要なデメリットも存在します。

ここでは、買取のデメリットについて、正直にお伝えしていきます。

売却価格が仲介より低くなる可能性

買取価格が仲介売却と比べて低くなる理由は以下の通りです。
・不動産会社による転売を前提とした価格設定
・会社側のリスクヘッジ分の価格調整
・物件の流動性リスクの価格への反映

一般的に、市場価格と比較して10~30%程度の価格差が生じることもあります。

特に、立地条件が悪かったり、状態の良くない物件では、この価格差が大きくなる傾向にあります。

買取が向かない物件の特徴

以下のような物件の場合、買取よりも仲介売却をお勧めします。
・築浅で状態の良い物件
・人気エリアの居住用不動産
・高額物件
・希少性の高い物件

これらの物件は一般市場での需要が高く、仲介売却であれば適正な市場価格での取引が期待できます。買取を選択することで、本来得られたはずの売却益を逃してしまう可能性があります。

相見積もりの重要性

買取価格は不動産会社によって大きく異なる場合があります。


・会社の得意分野による価格差
・在庫状況による価格の変動
・会社の資金力による価格設定の違い

そのため、相見積もりを取ることをお勧めします。

不動産買取と仲介の選び方

チェックリスト

ここまで買取と仲介それぞれの特徴を見てきましたが、ではどのように売却方法を選べば良いのでしょうか。

以下の判断フローとチェックポイントを参考に、ご自身の状況に合った方法を選択してください。

売却方法を選ぶ際の重要チェックポイント

1. 売却の緊急性
・3ヶ月以内の売却が必須か?
・資金化の時期は明確に決まっているか?
・税金や住宅ローンの支払いに関する期限はあるか?

2. 物件の市場性
・築年数は10年以内か?
・最寄り駅からの距離は徒歩10分以内か?
・大規模修繕や設備の更新は必要ないか?

3. 売主様の状況
・物件の管理や内覧対応は可能か?
・近隣への配慮は必要か?
・遠方在住などで物件への往来が困難か?

専門家への相談のポイント

不動産会社に相談する際は、以下の点を必ず確認しましょう。


買取と仲介の両方の提案を受ける
・市場での想定売却価格
・買取価格
・それぞれの手取り額の試算
・売却までの具体的なスケジュール

取引実績の確認
・対象エリアでの取引実績
・似た物件の取引事例
・買取後の転売実績(買取の場合)

私の経験上、優良な不動産会社は買取・仲介の両方について、メリット・デメリットを含めた丁寧な説明を行います。一方的に買取を推奨する会社には注意が必要です。

最終判断のための簡易フロー

まず、売却の緊急性を判断
・緊急性が高い → 買取を検討
・緊急性が低い → 次のステップへ

物件の市場性をチェック
・市場性が高い → 仲介を検討
・市場性が低い → 買取も視野に

売主様の状況を考慮
・手続き簡素化が必要 → 買取を検討
・手続き対応が可能 → 仲介を検討

まとめ

不動産の売却方法は、物件の状況や売主様のご事情によって最適な選択が変わってきます。本記事でご説明した内容を簡潔にまとめると、以下のような方に不動産買取がお勧めできます。

・迅速な売却を必要とされる方
・確実な価格設定を重視される方
・売却を近隣に知られたくない方
・手続きの簡素化を求められる方
・引き渡し後のリスクを抑えたい方
・スケジュールの確実性を重視される方

一方で、以下のような場合は仲介売却の方が有利となる可能性が高いです。

・市場性の高い物件をお持ちの方
・より高い売却価格を目指したい方
・売却までの時間的な余裕がある方

次のステップ

アクションプラン

売却をご検討の方は、まず複数の不動産会社に相談することをお勧めします。


その際は、
1.買取と仲介、両方の査定を依頼する
2.具体的な金額とスケジュールを確認する
3.各社の提案内容を比較検討する

という手順で進めていくことで、ご自身の状況に最適な売却方法を見つけることができます。


最後に一つ付け加えさせていただくと、金額の差があったとしても、スピードや手続きの簡便さを重視して買取を選択されるケースも少なくありません。


大切なのは、単純な価格比較だけでなく、ご自身の状況やニーズに合わせて総合的に判断することです。


売却方法の選択でお悩みの際は、ぜひ一度専門家にご相談ください。

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本記事が、不動産売却をご検討中の皆様のお役に立てれば幸いです。


MEISA 明紗は、千葉県流山市を拠点におく不動産会社です。

土地・古屋付土地・収益物件・事業用不動産に特化した売却サポートを行っています。

売却仲介と買取、2つの選択肢をご用意し、売却価格の根拠から市場環境まで、判断に必要な情報を分かりやすくご説明いたします。


市場の最前線で日々、様々な売却ケースに向き合う中で得られた知見を、今後も定期的に発信してまいります。

売却に関する様々なご相談を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。



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