「この土地は売れません」と言われた、坂の上の家──流山市で崖・擁壁・高低差のある実家を手放す前に

query_builder 2026/06/24
不動産売却
坂の上に建つ擁壁のある古い家。崖・擁壁・高低差のある土地の売却を考える流山市の住宅のイメージ。

崖や擁壁、高低差のある土地は、「売れない」と言われがちです。けれど、本当に売れないわけではありません。売りにくさには理由(構造)があり、それを知って早めに動けば、売れる道は残されています。


売れにくい理由は3つ。第一に、がけのある土地は建てられる範囲が狭まり、買主の住宅ローン審査が厳しくなりやすいこと。

第二に、がけ条例(千葉県建築基準法施行条例)や擁壁の安全性という、建築のうえでの制限があること。

第三に、盛土・造成の安全規制が強まる方向にあり、安全性がこれまで以上に問われるようになっていること。


この記事でわかること

  • なぜ崖・擁壁・高低差のある土地は「売りにくい」と言われるのか
  • がけ条例(千葉県建築基準法施行条例)と擁壁の安全性のしくみ
  • 売主が今できる早めの判断(現状の確認・見せ方・買い手の探し方)
  • 擁壁の改修費の考え方と、その費用は誰が負担するのか
  • 流山市での相談先(建築住宅課・専門家)


坂の上の家。築四十年を越えた実家。相続して、さあ売ろうと相談したら、こう言われたのです。「この擁壁は、改修が要りますね」「買い手のローンが、付きにくいかもしれません」「再建築には、制限がかかります」。続けて訪ねた買取の業者からは、思っていたよりずっと低い金額を提示された。手が止まる。本当に、この家は売れないのだろうか。


「売れない」と言われてしまうと、気持ちはそこで止まってしまいます。けれど、崖や擁壁のある土地は、売りにくさの「理由」さえ分けて考えれば、打てる手が見えてくるかもしれません。


この記事は、流山市で高低差のあるご実家を持つあなたが、「何を、どの順番で確かめればいいか」を整理するための地図です。

なぜ崖・擁壁・高低差のある土地は「売れない」と言われるのか

結論:売れないわけではありません。売りにくさには「買主のローン審査」「がけ条例と擁壁の安全性」「造成・盛土の安全規制の動向」という3つの構造があります。これらを理解して早めに動けば、売却の道は残されています。


流山市の中部・北部は下総台地(標高およそ15〜20メートル)、西を流れる江戸川や坂川の沿岸は低地(標高およそ5〜6メートル)。市内にはおよそ10〜15メートルの高低差があり、台地には谷津と呼ばれる浸食された低地が樹枝状に入り込んでいます。江戸川台や南流山のように、台地と低地の境、坂の途中に建つ住宅地が少なくありません。


こうした土地に擁壁や急な傾斜があると、売却が思ったように進まない場合があります。理由を順番に見ていきましょう。

売りにくさには、3つの理由がある

理由① 買主の住宅ローンが通りにくいことがある

結論:がけの部分は原則として建物が建てられず、有効に使える宅地が狭くなります。再建築の制限や擁壁の安全性に懸念があると、金融機関の担保評価が下がりやすく、買主の住宅ローン審査に影響する場合があります。ただし「ローンが付かない」と一律に決まるわけではありません。


家を買う多くの方は、住宅ローンを使います。そのローンは、土地と建物を担保にして組まれます。ここで、がけや擁壁のある土地は不利に働くことがあります。


がけの部分には原則として建物を建てられないため、同じ地積でも実際に使える宅地は狭くなります。再建築に制限があったり、擁壁の安全性に懸念があったりすると、金融機関はその土地の担保としての価値を低く見ることがあります。担保評価が下がれば、買主が希望する金額のローンが通りにくくなる——これが、「買い手のローンが付きにくい」と言われる中身です(高さ2メートル超の擁壁とがけ条例の関係につき、日本経済新聞2024年7月の解説等で指摘されています/2026年6月確認)。


ただし、これはあくまで「ケースによる」話です。擁壁が安全基準を満たしていることが確認できれば、評価は変わります。金融機関や物件の状況によっても判断は異なります。「ローンが付かないから売れない」と早合点せず、まず自分の土地がどう評価されうるかを確かめることが先決です。

理由② がけ条例と擁壁の安全性

がけ条例のしくみを示す断面図。高さ2mを超え勾配30度を超えるがけの上では、がけ下端から高さの1.5倍以内、がけの下ではがけ上端から高さの2倍以内に居室を建てられない。安全な擁壁を設ければ例外となる場合がある。

結論:千葉県の建築基準法施行条例(いわゆる「がけ条例」)は、高さ2メートル超・勾配30度超のがけの上下に、居室のある建物を建てることを制限しています。安全な擁壁を設けるなどの条件を満たせば建てられる場合があります。流山市は建築確認を自ら扱う特定行政庁で、窓口は建築住宅課です。


「がけ条例」とは、千葉県建築基準法施行条例のがけに関する規定の通称です。ここでいう「がけ」とは、地表面が水平面に対して30度を超える角度をなし、かつ高さが2メートルを超えるものを指します(硬岩盤で風化の著しくないものを除く)。


このがけの近くで建物を建てる場合、原則として、がけの上ではがけ下端からがけの高さの1.5倍の距離以内、がけの下ではがけ上端からがけの高さの2倍の距離以内に、居室のある建物を建ててはならないとされています。ただし、構造耐力上安全な擁壁を設けるなどの条件を満たせば、例外として建築が認められる場合があります。また、高さ5メートルを超える擁壁は鉄筋コンクリート造とし、地表水の排水施設を設けることが求められます(千葉県「わが家を建てるための法律知識—がけについて」/千葉県建築基準法施行条例とその解説2025年版)。


大切なのは、「がけ条例にかかる=建てられない」ではない、という点です。条件を満たせば建てられる場合があり、その判断は土地ごとに異なります。流山市は建築基準法に関する事務を自ら処理する特定行政庁ですので、具体的な扱いは流山市まちづくり推進部建築住宅課(流山市平和台1-1-1 第2庁舎2階)で確認できます(流山市公式/2026年6月確認)。


「他社で断られた」と肩を落として来られる方ほど、条件の整理から始めると道が見えてくることがあります。明紗がどんな姿勢で難しい物件に向き合っているかは、こちらをご覧ください。


「他社で断られた物件こそ」──

理由③ 造成・盛土の安全規制が強まる方向にある

結論:2023年5月に盛土規制法が施行され、盛土・擁壁の安全基準と確認手続きが全国的に強化されました。土地の安全性はこれまで以上に問われる方向にあります。ただし、これは「いつまでに売らないと売れなくなる」という期限の話ではありません。


2021年に静岡県熱海市で起きた盛土の崩落をきっかけに、土地の安全に関する法律が見直されました。旧・宅地造成等規制法を抜本的に改正した盛土規制法が、2023年(令和5年)5月26日に施行されています。


この法律は、土地の用途を問わず危険な盛土等を全国一律の基準で規制するもので、規制区域の指定、区域内での盛土等の許可制、施工の検査、罰則の強化などが定められました(国土交通省「盛土・宅地防災」/2026年6月確認)。背景にあるのは、造成地や擁壁の安全性を社会全体でより重く見るようになったという流れです。


擁壁や造成のある土地は、こうした安全意識の高まりの中で、買主からもより丁寧に状態を見られるようになっています。だからこそ、自分の土地の擁壁や造成がどういう状態かを早めに把握しておくことに意味があります。「条件が見えにくいまま放っておかない」という早めの確認のすすめです。

擁壁の改修費は誰が負担する?──「直してから」の前に

「直してから売る」の前に確かめたいこと

結論:擁壁の造り直しは規模によって数百万円から一千万円規模になることもあり、補修であればより小さく収まります。費用負担を売主・買主のどちらが負うかは、売り出し条件や契約の取り決め次第です。「直してから売る」と決める前に、現況のままで売れるかどうかを確かめるのが先です。


擁壁に不安があると、つい「直してから売ろう」と考えがちです。けれど、擁壁工事の費用は決して小さくありません。

造り直し(新設)の場合、1平方メートルあたりおおむね3〜13万円が一つの目安で、規模や構造によっては総額が一千万円を超える例もあります。補修であれば1平方メートルあたり1〜2万円程度に収まることもあります。たとえば高さ3メートル・長さ10メートルの鉄筋コンクリート擁壁の再構築で約320万円という例もありますが、これらはいずれも目安にすぎません。土砂の搬出入や仮設の有無、進入路の幅などで費用は大きく変わるため、正確な金額は現地調査が必要です(擁壁工事の費用相場各種/2026年6月確認)。


ここで立ち止まりたいのは、「大きなお金をかけて直す」前に、「現況のままだと、いくらで・どう売れるのか」を先に確かめる、という順番です。改修費を売主が負担するのか、価格に織り込んで買主側で対応してもらうのかは、売り出し条件の組み方によって変わります。直す・直さないを決めるのは、現状の見立てを持ってからでも遅くありません。


売るべきか、まずいくらの値がつくのか。判断の物差しがないまま迷っておられるなら、一度ご相談ください。


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流山の現場から

流山市で擁壁や高低差のあるご実家のご相談をお受けしています。「他社で売れないと言われた」方でも、現況を整えることで道が開けることがあります。


「売れない」と言われた一言で立ち止まってしまうのは、あまりにもったいない。崖や擁壁があっても、まず正しく見立てる。それが、第一歩だと感じています。

「売れない」の前に、売主が今できること

結論:できることは順番に整理できます。①境界や擁壁の状態を把握しておく、②現況のまま価値を確かめる。この2つを早めに進めておくことが大切です。


崖や擁壁のある土地を売却するときに、売主が今できることを順番にまとめます。


まず、擁壁の状態を把握し、現況のままで価値を確かめること。擁壁の安全性が確認できる資料があるか、再建築の可否はどうかを押さえ、直したり壊したりする前に、今のままだといくらで売れそうかを知ることが起点になります。


そして、見せ方と価格の設計です。高低差は、見方を変えれば「眺望」や「日当たり」という魅力にもなります。難点だけでなく良さも伝わる売り出し方を考えます。


隣地との境界や擁壁の責任範囲は、売り出し前に整理しておくと、後の交渉でつまずきにくくなります。境界の確定や測量の要否については、境界確定測量は本当に必要?で詳しくご説明しています。


相続した実家を売る場合の全体像は相続した実家・空き家の売却もあわせてご覧ください。

よくあるご質問

Q. がけ条例にかかる土地でも、売れますか?

売れる可能性は十分にあります。がけ条例にかかること自体は「建てられない」を意味しません。安全な擁壁などの条件を満たせば建築できる場合があり、その判断は土地ごとに異なります。まずは流山市建築住宅課や専門家に、その土地の扱いを確認するところから始めるのが安心です。


Q. 擁壁の改修は、売主が負担しなければならないのでしょうか?

売主が負担すると決まっているわけではありません。改修費を売主が負担するか、価格に反映して買主側で対応してもらうかは、売り出し条件や契約の取り決めによります。大きな費用をかけて直す前に、現況のままでの売却の見立てを持つことをお勧めします。


Q. 高低差があると、買い手の住宅ローンは通らないのですか?

一律に通らないわけではありません。がけや擁壁の状態によって担保評価が下がり、審査が厳しくなる場合はありますが、擁壁の安全性が確認できれば評価は変わります。金融機関や物件の状況によっても異なるため、早合点せずに条件を整理することが大切です。


Q. 売り出すとき、擁壁や高低差のことはどこまで伝える必要がありますか?

土地の状態は、買主が判断するうえで重要な情報です。擁壁の状況や過去の改修歴などは、わかる範囲で正確に伝えることがトラブルの予防になります。どこまで・どう伝えるかは、仲介を依頼する不動産会社と相談しながら整理するとよいでしょう。


Q. 流山市では、がけ条例や擁壁のことをどこに相談すればいいですか?

建築の可否やがけ条例の扱いは、流山市まちづくり推進部建築住宅課が窓口です。擁壁の工事内容や費用は専門の工事業者へ、売却の見立てや売り出し条件は地域の不動産会社へ、と分けて相談するとスムーズです。


Q. 「もう売れません」と言われましたが、本当に売れないのでしょうか?

すぐに諦める必要はありません。「売れない」と言われる多くのケースは、売りにくさの理由が整理されていないだけのことがあります。現況のままで価値を確かめ、買い手のローンが通りやすい条件と見せ方を整えることで、仲介で売れる道が見えてくることがあります。

まとめ

崖や擁壁、高低差のある土地は、「売れない」と言われがちです。けれど、売れなくなるわけではありません。

大切なのは、売りにくさの理由を分けて見ることです。


買い手のローン審査、がけ条例と擁壁の安全性、そして強まる安全規制の動向。この3つを理解して、現況のまま価値を確かめ、見せ方と条件を整える。順番に進めれば、坂の上の家にも、仲介で売る道は残されています。

慌てて直す必要も、安く手放す必要もありません。


まずは、この土地にいくらの値がつくのか。そこから一緒に確かめさせてください。それが、これからを考えるための、いちばん確かな材料になります。


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本記事に関するご注意

  • 本記事の内容は、執筆時点(2026年6月)の法令・条例・市場動向に基づいています。最新情報は管轄機関の公式情報をご確認ください。
  • がけ条例(千葉県建築基準法施行条例)や盛土規制法の適用は土地ごとに異なります。具体的な建築の可否は、流山市建築住宅課など管轄窓口でご確認ください。
  • 擁壁の改修費など本記事に記載した金額は一般的な目安であり、お客様の物件・状況により異なります。正確な金額は現地調査が必要です。
  • 個別具体的な不動産売却・建築・法務のご相談は、宅地建物取引業者・建築士・土地家屋調査士など各分野の有資格者へのご相談をお勧めします。
  • 取引事例・実績は実際の案件に基づきますが、お客様情報保護のため詳細は一部加工しています。本記事の事例は複数のご相談をもとにした架空のケースです。

宅地建物取引業 千葉県知事 第17957号 合同会社明紗

代表 中山 裕章

流山市・柏市・松戸市・市川市の仲介売却を一貫してご担当します。「他社で断られた物件こそ、まずは明紗に」を掲げ、査定根拠100%開示・最短15営業日決済の体制で、流山の相場感に根ざしたご提案を行っています。一軒に、一つの物語を。

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