不動産売却の会社選び、「大手 vs 地元」は間違い？成功の鍵は『担当者』の見極め方にあった | 不動産売却 ノウハウ BLOG

不動産売却を検討する際、多くの方がインターネットの一括査定サイトを利用したり、テレビCMでよく見る大手不動産会社に問い合わせたりします。

しかし、そこで提示された査定額の高さや会社の知名度だけで依頼先を決めてしまうのは非常に危険です。会社のブランド力は一定の安心感を与えてくれますが、それが必ずしもあなたの売却成功を保証するものではありません。その背景には、不動産業界特有の「担当者ガチャ」とも言える現実が存在します。

大手不動産会社には、長年蓄積された豊富なデータや充実したサポート体制（例えば、売却後の設備保証やホームステージングサービスなど）といった大きなメリットがあります。社内の情報共有システムも整備されており、過去の成約事例などを参考に、安定した売却活動が期待できるでしょう。

しかし、その組織に属する営業担当者一人ひとりのスキルや経験、そして何よりも倫理観が均一であるとは限りません。

一つの支店に数十人の営業担当者がいる場合、残念ながらそこには「できる担当者」と「そうでない担当者」が混在しているのが実情です。

どんなに優れた社内システムがあっても、最終的にあなたの物件の魅力を買主様に伝え、交渉をまとめ上げるのは、目の前の担当者なのです。

一方で、地元密着型の不動産会社は、そのエリアの特定の物件に非常に詳しかったり、大手にはないフットワークの軽さや柔軟な対応力を持っていたりする魅力があります。しかし、「地元だから安心」と考えるのも早計です。

会社によっては販売活動のネットワークが限られていたり、最新の市況分析やWebマーケティングの知識に乏しかったりするケースも少なくありません。

こちらも大手と同様に、担当者の力量によって売却結果が大きく左右されることに変わりはないのです。

不動産売却において最も警戒すべき行為の一つが「囲い込み」です。

これは、売主と買主の両方から仲介手数料を得る「両手取引」を狙うために、他社からの購入希望者の紹介を意図的に断る行為を指します。この囲い込みが行われると、あなたの物件はより良い条件で購入してくれるかもしれない買主様に出会う機会を失い、結果的に安値で長期間売れ残ってしまうリスクが高まります。

この問題は会社の規模に関わらず、担当者個人の倫理観に大きく依存します。売主様の利益を第一に考えず、自社の利益を優先する担当者に当たってしまった場合、会社の看板がどんなに立派でも、あなたの売却は失敗に向かってしまうのです。

では、どうすれば信頼できる優秀な担当者を見つけられるのでしょうか。会社の大小を問わず、担当者と面談する際には以下の5つのポイントを意識してチェックしてみてください。これらの質問を通じて、担当者のスキル、誠実さ、そしてあなたへの向き合い方が見えてくるはずです。

最も重要なポイントです。高い査定額を提示する担当者が、必ずしも良い担当者とは限りません。重要なのは、その金額に至った「根拠」です。

例えば、「近隣のこの物件が〇ヶ月前にこの価格で成約しています」「この物件は南向き角部屋なので、相場より5%高く設定できます」といったように、客観的なデータ（成約事例、市場動向）と物件固有の価値を基に、論理的で納得感のある説明をしてくれるかを確認しましょう。

根拠が曖昧なまま高額査定を提示して契約を取り、後から値下げを提案してくるのは悪質な担当者の常套手段です。

優秀な担当者は、物件のポテンシャルを最大限に引き出す力を持っています。単に間取りや駅からの距離といった表面的な情報だけでなく、その物件ならではの価値を見つけ出してくれます。

不動産の知識だけでなく、建築など多角的な視点から物件の価値を語れるかは、大きな判断基準になります。

基本的なことですが、非常に重要です。売却活動中は、内見の調整や買主様からの問い合わせなど、迅速な対応が求められる場面が多々あります。

質問に対する返信が遅い、電話がつながらないといった担当者では、大切な販売機会を逃してしまう可能性があります。初回の問い合わせから面談の日程調整に至るまで、そのやり取りがスムーズで丁寧かどうかは、その後の活動姿勢を測るバロメーターになります。

良いことばかりを並べる担当者には注意が必要です。どんな物件にも、何かしらの弱点や売却におけるリスクは存在します。

「このエリアは現在供給過多なので、売却に少し時間がかかるかもしれません」「この間取りは好みが分かれるため、内装の一部をリフォームした方が響きやすいでしょう」といったように、ネガティブな情報も包み隠さず伝え、その上で対策を一緒に考えてくれる担当者こそ、本当に信頼できるパートナーと言えます。

不動産の売却方法は、市場で広く買主を探す「仲介」だけではありません。不動産会社が直接買い取る「買取」という選択肢もあります。

優秀な担当者は、あなたの状況（売却希望時期、資金計画など）をヒアリングした上で、「仲介なら高く売れる可能性がありますが時間はかかります」「買取なら早期に現金化できますが価格は相場の7〜8割になります」といったように、それぞれのメリットとデメリットを公平に提示してくれます。

一方的に仲介だけを勧めるのではなく、あなたのゴールに合わせた最適な方法を提案してくれるかを見極めましょう。

ここまで見てきたように、不動産売却の成功は、大手や地元といった会社の「タイプ」で決まるものではなく、あなたの代理人として動いてくれる「担当者」個人の力量と誠実さに大きく依存します。それはまるで、目的地へ向かうための旅で、高性能な車を選ぶこと以上に、信頼できる運転手（ナビゲーター）を見つけることが重要なのと似ています。

本当に信頼できるパートナーは、一方的に道を提示するのではなく、まずあなたの「なぜ売りたいのか」「いつまでに、いくらで売りたいのか」という想いやゴールを丁寧にヒアリングすることから始めます。その上で、「高く売る」という仲介の道と、「早く確実に売る」という買取の道、それぞれのメリット・デメリットを公平に提示し、あなただけの最適な地図（売却戦略）を共に描き、ゴールまで伴走してくれるはずです。不動産会社を選ぶ際には、ぜひ「自分のためのナビゲーターになってくれる担当者か？」という視点を持ってみてください。

今回の記事では、不動産売却における会社選びの真実について解説しました。結論として、「あなたの物件に最適な不動産会社」という絶対的な正解は存在せず、成功の鍵は「倫理観と専門知識を兼ね備えた担当者」といかに出会えるかに尽きます。

大手には大手の、地元密着型には地元密着型のメリットがありますが、いずれも担当者によってそのサービス品質は大きく変わります。査定額の根拠、多角的な提案力、レスポンスの速さ、誠実さ、そして多様な売却戦略の提示といったポイントを基に、複数の担当者と直接会い、慎重に比較検討することが何よりも重要です。

不動産売却は、あなたの人生にとって大きな決断です。その大切なプロセスを、流れ作業のように進めるのではなく、あなたの想いやゴールに真摯に耳を傾け、時には「仲介」と「買取」という二つの道を公平に示しながら、最適なゴールまで伴走してくれるパートナーを見つけること。それが、後悔しない不動産売却を実現するための最も確かな方法と言えるでしょう。

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