「買取保証」は、売れないほうが不動産会社の得になる仕組み──任せる前と売り出し中に確かめる4つ

query_builder 2026/11/02
不動産売却
応接テーブルに置かれた、閉じた書類フォルダとペン

住み替えの資金計画に合わせて頼んだ査定の席。2社目の担当者が「半年で売れなければ、当社がこの額で買い取ります」と言い、それを「買取保証」と呼ぶ。売る期限が決まっている立場の身には、何よりの安心に聞こえる・・・

「買取保証」は、まず仲介で売り出し、期限までに売れなければ、その不動産会社が先に決めた額で買い取る約束です。ただ、このとき、不動産会社は、仲介で売れるより、売れずに期限が来て、買取に進むほうが得になる利益相反の立場にあります。この記事では、その仕組みと実際に起きていること、そして任せる前と売り出し中に確かめたい4つを整理します。明紗が「買取保証」を原則として行わない理由も、あわせてお伝えします。

「売れなくても買ってもらえる」は、本当に安心でしょうか?

結論:「買取保証」は、売れなかったときの出口を先に決めてくれる一方で、高く売れるより売れないほうが不動産会社の得になるという最初から欠陥を持つ仕組みです。安心に見える約束の裏で、売主さんと不動産会社の利害がぶつかります。

「買取保証」は、各不動産会社がそれぞれの条件で用意しているサービスの呼び名で、法律に決まった定義はありません。「一定の期間で売れなければ、決めた額で買い取る」という骨組みは似ていても、期間、買い取る額、どんなときに約束がなくなるかは、不動産会社ごとに異なります。共通しているのは、売り出しを任せる会社(仲介)と、売れなかったときに買う会社(買取)が、同じ一社だという点。

住み替えで次の家の支払いの期日が決まっている、相続税の納付が迫っているなど、期限のある売却では、「売れなかったらどうしよう」がいちばん大きな不安になります。売る日を自分で決められない立場にあれば、その不安に答えてくれる約束に心が動くのは自然なことです。

「買取保証」で不動産会社は、何を見据えているのですか?

仲介で売れるより、買取に進むほうが、不動産会社は得をする

高く売れたとき不動産会社が受け取るのは仲介手数料、売れずに期限が来たとき不動産会社は約束の額で物件を手に入れ、手を入れて売り直す利益が見込めることを並べ、売主と不動産会社の得の向きがぶつかる利益相反を示す図と、任せる前と売り出し中に確かめる4つ

結論:不動産会社の側から見ると、高く売れて受け取るのは仲介手数料です。売れずに期限が来れば、約束した額で物件を手に入れ、手を入れて売り直すことで、手数料より大きな利益が見込めることがほとんどです。売主さんは高く売れてほしい。不動産会社は売れないほうが得をする。これが利益相反です。

仲介で売れた場合、不動産会社が受け取るのは仲介手数料です。上限は国土交通大臣の告示で決まっていて(宅地建物取引業法46条)、売れた額が400万円を超えるときは「売れた額×3%+6万円」に消費税を加えた額です。売れた額が上がっても、不動産会社の受け取り額はほとんど増えません。

一方、期限までに売れなければ、不動産会社は先に決めた額で物件を買えます。その額は、手を入れて売り直す費用や、売れるまで持つ間の負担を見込んで決まるため、仲介で売れる額より低くなります。そして、手を入れて売り直したときの差は、仲介手数料より大きくなることがほとんどです。

売主さんにとっていちばん良い結果(高く売れる)と、不動産会社にとって得な結果(売れずに買い取る)が、同じ方向を向いていない。これが「買取保証」の仕組みの芯です。

期限と約束の買取額が、売り出す前から相手に見えている

「買取保証」を結ぶと、売主さんの期限(いつまでに売りたいか)と、約束の買取額(いくらなら手放すか)が、売り出す前から不動産会社に分かっています。不動産会社は、期限まで待てば約束の額で買えることを知ったうえで、販売を進めることになります。

売り出し中の値下げの相談も、この構図の中で行われます。期限が近づくほど、売主さんは「売れないなら約束の額で」と考えやすくなり、ほかの道を探す時間も残りにくくなるかもしれません。

売り出しているように見せて、売らない会社はあるのですか?

結論:あります。広告には載せていても、本気で買主を探さない。期限が来たら「売れませんでしたね」と、約束の額での買取へ進める。買取に誘導したいからです。

任された以上は買主を探す会社が多くあります。ただ、仕組みのうえでは、販売に手を抜いても不動産会社は損をせず、かえって得をすることがあります。そして実際に、売り出しているように見せて、買取へ誘導する会社があります。

売主さんの側から、販売を尽くしたかどうかを確かめるのは簡単ではありません。問い合わせがあったか、内見の申し出があったかは、不動産会社からの報告で知るしかないからです。空き家にして売っている場合や、遠方へ移った後ならなおさらです。

「買取保証」を付けていなくても、仲介と買取を同じ会社が担っていれば、同じことは起こりえます。売主さんの知らないうちに、不動産会社どうしの物件情報網で自分の物件の状況が「申込みあり」にされていて、ご自身で画面を確かめて初めて気づいた、という体験を語る売主さんもいます。依頼先が買主を絞り込む「囲い込み」は、両手仲介と囲い込みの仕組みで整理しています。

次のような様子があれば、注意してください。

  • 問い合わせや内見の件数を聞いても、はっきりした数字が返ってこない
  • 物件の情報が、ほかの不動産会社に広く紹介されていない
  • 売り出して間もないうちから、値下げの相談ではなく、買取を勧められる

任せる前と売り出し中に、何を確かめますか?

①約束の買取額と期限を、売り出す前に書面で決める

結論:①約束の買取額と期限を、売り出す前に書面で決める ②ほかの会社の買取額と比べる ③活動の報告を数字で受ける ④レインズへの登録を、ご自身で確かめる、の4つです。①②は任せる前に、③④は売り出し中に確かめます。

「うちなら、売れなくてもこのくらいで買えます」という口頭の話は、約束になりません。買い取る額、期限、そしてどんな場合に約束がなくなるのか(たとえば、途中の価格の見直しに応じることが条件になっていないか)を、売り出す前に書面で決めておきます。媒介契約書とは別の書面になることもあるため、どの書面に何が書かれているかを、署名の前に確かめます。

②ほかの会社の買取額と比べる

約束の買取額が妥当かどうかは、一社の話だけでは分かりません。買取の相手を一社に決めてしまうと、ほかの会社なら出せたかもしれない額と比べる機会がなくなります。売り出す前に、買取を行うほかの会社にも額を聞き、並べてから決めます。買取の会社の選び方は、買い取ってくれる会社の選び方で整理しています。

③活動の報告を、数字で受ける

専任媒介なら2週間に1回以上、専属専任媒介なら1週間に1回以上、不動産会社は売主さんに販売活動の状況を報告しなければなりません(宅地建物取引業法34条の2第9項)。報告を受けるときは、「反響はまずまずです」といった印象ではなく、問い合わせと内見の件数を数字で聞いてください。

購入の申込みがあったときは、媒介の種類にかかわらず、遅れずに売主さんへ知らせることも法律で決まっています(同条第8項)。申込みの有無も、報告のたびにたずねます。

④レインズへの登録を、ご自身で確かめる

専任媒介・専属専任媒介では、不動産会社は物件をレインズ(不動産会社どうしの物件情報網)に登録しなければなりません。登録したことを証する書面も、遅れずに売主さんへ渡します(同条第5項・第6項)。2025年1月からは、申込みが入っているかなどの取引の状況も、レインズに登録することになりました(宅地建物取引業法施行規則15条の11)。登録を証する書面に書かれた確認用の情報で、売主さんご自身も、掲載の状況を確かめられます。

書面が届かない、確認の仕方の説明がないというときは、不動産会社にたずねてください。確かめ方の手順は、上の囲い込みの記事で整理しています。

確かめられないときは、どう売りますか?

結論:販売を頼む会社と、買い取ってもらう会社を分けます。自社で買取を行わない会社に仲介を任せ、買取は売主さんご自身で複数の会社に当たるか、仲介を任せた会社に、ほかの買取会社の提示を集めてもらいます。

販売を頼む会社が買取をしなければ、その会社の得は、仲介で売れることだけです。売れなければ報酬がないため、販売に力を入れる理由がはっきりします。

買取の当たり方は2つです。売主さんご自身で複数の買取会社に当たれば、仲介手数料はかかりません。仲介を任せた会社に、買取会社の提示を集めてもらう方法もあります。その場合は買取会社どうしが額を競う形になる一方で、その仲介に手数料がかかることがあります。手間と手数料のどちらを取るかで決めます。

期限まで待つ必要もありません。売り出して数か月たっても動きが少なければ、仲介を続けながら、並行して買取の額を聞き始められます。専任媒介の期間は3か月までで、続けるには売主さんの申出による更新が要ります(宅地建物取引業法34条の2第3項・第4項)。更新の時期は、報告の数字を見て、続けるか、頼み先や売り方を変えるかを考える区切りになります。買取へ移る目安の決め方は、「ここまで来たら買取」の撤退ラインの引き方で整理しています。

明紗は「買取保証」をしますか?

結論:原則として行っていません。明紗は仲介もしますし、自ら買主として買い取ることもします。一つの物件で両方を約束すると、高く売るための努力と当社の得がぶつかるからです。

仲介のときの明紗は、売主さんの側に立ち、少しでも高く買う人を探します。買取のときの明紗は、買う側に立ちます。安く買うほど、当社の得になります。一つの物件で両方を約束すると、「売れなければ当社が決めた額で買える」状態になります。そのため、仲介の途中で明紗が買い取ることも、売れなければ明紗が決めた額で買い取る「買取保証」も、原則としてお受けしていません。

例外は、住み替えの期限までに売り切りたいなど、確実さを優先したい事情があり、この利害のぶつかりをご説明したうえでご納得いただいた場合だけです。その場合は、買い取る額と期間を売り出す前に書面で決め、期間中は問い合わせと内見の件数を数字でご報告します。

仲介の途中で買取に移りたくなったときは、仲介として、ほかの買取会社の提示を集めてお手伝いします。明紗は売主さんの側に立ったまま、提示を比べます。仲介と買取の手取りの違いと明紗の約束は、仲介と買取で、手元に残る額はどう違うかにまとめています。

不動産取引の現場から

結論:「買取保証」を勧められて迷っている売主さんには、約束の買取額が妥当かどうかの目安と、仲介で売った場合の手取りの目安を、並べてお示ししています。

明紗では、ほかの会社で「買取保証」を勧められ、決める前に意見を聞きたいというご相談もお受けしています。約束の買取額と期限が書面になっているかを一緒に確かめ、仲介で売った場合の手取りの目安と、買取額の目安を並べてお示しします。どの会社に任せるかを決めるのは、売主さんご自身です。

期限のある売却ほど、早く決めてしまいたくなります。けれど、その期限は売主さんの暮らしの事情そのものです。私は、その事情を交渉の材料として預かるのではなく、事情に合う売り方を一緒に組み立てる側でいたいと考えています。

仲介と買取のどちらが手元に多く残るかを、並べてから決める。そうした使い方でご相談いただけます。

→ 仲介の手取りと買取額を並べる無料相談

代表メッセージもあわせてご覧いただけます。

「買取保証」について、よくあるご質問

Q. 「買取保証」は、法律で決まった制度ですか?

各不動産会社が条件を決めて用意しているサービスの呼び名で、法律で決まった制度ではありません。期間、買い取る額、約束がなくなる条件は不動産会社ごとに異なるため、売り出す前に書面で確かめてください。

Q. 「買取保証」の額は、仲介で売れる額より低いのですか?

低くなります。買い取った会社が手を入れて売り直す費用や、売れるまで持つ間の負担を見込んで額を決めるためです。決まった割合はないので、ほかの会社の買取額と、仲介で売った場合の手取りの目安を並べて比べてください。比べ方の全体は買取と仲介、どちらで売る?で整理しています。

Q. 一般媒介でも、活動の報告は受けられますか?

購入の申込みがあったときの報告は、一般媒介でも不動産会社の義務です(宅地建物取引業法34条の2第8項)。2週間に1回以上といった定期の報告の義務は、専任媒介と専属専任媒介にだけあります。一般媒介でも、報告の頻度と中身を最初に取り決めておくことはできます。

Q. ほかの会社で「買取保証」を勧められています。何を確かめればいいですか?

約束の買取額と期限を売り出す前に書面で確かめ、ほかの会社の買取額とも比べてください。売り出した後は、問い合わせと内見の件数を数字で聞き、レインズへの登録を証する書面に書かれた確認用の情報で、掲載の状況をご自身でも確かめてください。約束の買取額が妥当かどうか、明紗でも無料で目安をお出しします。

Q. 「買取保証」を付けた後で、頼み先を変えられますか?

媒介契約の期間と解除の決まりは、媒介契約書に書かれています(宅地建物取引業法34条の2第1項第5号)。専任媒介の期間は3か月までで、続けるには売主さんの申出による更新が要ります。「買取保証」の約束をやめる場合の扱いは不動産会社ごとの書面によるため、署名の前に確かめておきます。

Q. 明紗は「買取保証」をしていますか?

原則として行っていません。売れなければ不動産会社が決めた額で買える約束は、高く売れるより売れないほうが不動産会社の得になる構図をつくるからです(利益相反)。住み替えの期限までに売り切りたいなど、確実さを優先したい事情があり、この点をご説明したうえでご納得いただいた場合に限り、お受けすることがあります。その場合は、買い取る額と期間を売り出す前に書面で決め、期間中は問い合わせと内見の件数を数字でご報告します。

まとめ──「売れなくても安心」の裏側を、数字で確かめる

まとめ

「買取保証」は、売れなかったときの出口を先に決める約束です。一方で、高く売れて不動産会社が受け取るのは仲介手数料、売れずに期限が来れば約束の額で物件を手に入れられるため、売れないほうが不動産会社の得になる構図をつくります。実際に、売り出しているように見せて、期限が来たら買取へ進める会社があります。

任せる前に、約束の買取額と期限を書面で決め、ほかの会社の買取額と比べます。売り出し中は、活動の報告を数字で受け、レインズへの登録をご自身で確かめます。確かめられないときは、販売を頼む会社と、買い取ってもらう会社を分けることで、期限のある売却でも、売主さんが選べる立場を保つことができます。

「買取保証」を勧められて迷っている段階でも、そこからご一緒できます。ご相談は無料です。

→ 仲介の手取りと買取額を並べる無料相談

本記事に関するご注意

  • 本記事の内容は、執筆時点(2026年11月)の法令と、公的機関の公表情報に基づいています。「買取保証」の条件は不動産会社ごとに異なります。実際の条件は、各不動産会社の書面でご確認ください。
  • 売却の価格・期間・手取りは、物件と市況によって異なります。本記事は売却の結果をお約束するものではありません。
  • 明紗は買取において買主として直接買い取る立場であり、仲介の査定とは利害構造が異なります。仲介のほうが手取りが多くなるケースもあり、その場合は正直にお伝えしています。

時間をかけて高く売りたい場合は、仲介でのご提案もできます(仲介売却のご相談)。

宅地建物取引業 千葉県知事第17957号
合同会社明紗

この記事を書いた人

中山裕章/合同会社明紗 代表

宅地建物取引士。流山市・柏市・松戸市・市川市の売却と買取を一貫して担当しています。他社で断られた物件こそ、まずはMEISAに——を約束に、仲介と買取の両方を扱う立場から、仲介で売った場合の手取りの目安と買取額を並べるところからご一緒しています。査定の根拠はすべてお見せします。最短14日決済。流山の相場感を大切に、一軒に一つの物語を。/代表メッセージ

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事業内容不動産売買(買取・分譲)/不動産仲介(売買)/不動産賃貸/不動産活用の企画・コンサルタント
免許番号千葉県知事(2)第17957号
メールmeta-meisa@memoad.jp
URLhttps://meisa-estate.com
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