サブリース付きのワンルーム、解約しないまま売る道があります──売る前に確かめる3つのこと
サブリース付きのワンルームを手放そうと不動産会社に相談すると、「まずサブリースを解約してください」と言われる。サブリース業者に連絡すると、解約には応じられないと返ってくる。そこで話が止まってしまう・・・
賃貸中の部屋は、サブリースの契約が付いたまま、オーナーチェンジ(=賃貸借を引き継いだまま所有者だけが替わる売り方)で売ることができます。気をつけたいのは、解約を売主の約束にしてしまう売買契約です。この記事では、都内などにワンルームをお持ちの方に向けて、投資用ワンルームマンションを売る前に確かめておきたい3つのことを整理します。
「解約していただければ、この価格で」と言われたら
売却を勧める電話から始まった話に、契約内容を煮詰める段になると「引渡しまでにサブリース契約を解約すること」という条件が追加された。サブリース業者に電話すると、「解約には応じかねます」。釈然としないまま、時が進んでいく。
これは、サブリース付きの区分を売ろうとした方から実際にお聞きしたお話です。解約できる前提で値段を決め、解約を売主の義務として契約書に盛り込む。解約できなかったときに違約金を求められた例もあります。
前に持っていた部屋は、売るときにサブリースを外せた。だから今回も大丈夫だろう。そう考えて契約に進んでしまうのは、不動産売買に慣れていない方にとっては自然なことです。けれど、解約に応じてくれるかどうかは、契約書の中身とサブリース業者によって大きく違います。
買ったことを悔やむ気持ちがあると、その恥ずかしさから、誰にも相談しないまま話を進めてしまいがちです。けれども、1Rマンション売却の相談に、買った経緯の説明は要りません。
サブリースは、オーナーの側から解約できるのでしょうか
結論:サブリースの契約にも借地借家法が適用されるため、オーナーの側からの解約や更新の拒絶には「正当の事由」が必要です。契約書に解約の条項があっても、オーナーの側からは簡単に終わらせられない場合があります。
サブリースとは、サブリース業者がオーナーから部屋を借り上げ、入居者に貸す仕組みです。オーナーとサブリース業者の間の契約は、マスターリース契約と呼ばれます。この契約は建物の賃貸借なので、借地借家法が適用されます(最高裁平成15年10月21日判決)。
建物の貸主が更新を断ったり解約を申し入れたりするには、正当の事由があると認められなければなりません(借地借家法28条)。その判断では、双方が建物を使う必要性や、それまでの経緯、立退料などの申出が考慮されます(同)。オーナーは貸主、サブリース業者は借主の立場です。
国土交通省のガイドラインも、この点を明記しています。オーナーからの中途解約の条項がある場合でも、オーナーから解約するには28条の正当の事由が必要です(国土交通省「サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン」)。「いつでも自由に解約できます」という広告は、誇大広告の例として挙げられています(同)。
同じガイドラインには、解約するときに月額家賃の数か月分を支払う必要があるのに、それを書かずに「いつでも解除できる」と表示する例も載っています(同)。解約に応じてもらえても、解約金がかかる契約があるということです。何か月分になるかは、契約ごとに違います。
もう一点。サブリース業者の側は、契約の条件にかかわらず、家賃の減額を請求できます(借地借家法32条)。「○年間は家賃を下げない」と書かれていても同じです(同ガイドライン)。ただし、オーナーはその請求をそのまま受け入れなければならないわけではなく、家賃の額は協議で決まります(同)。保証されていると思っていた家賃は、下がることがある。この点は、売る時期を考えるときにも関わります。
解約しないまま、売ることはできるのでしょうか

結論:できます。賃貸中の不動産を売ると、賃貸人の地位は買主に移り、敷金を返す義務も買主が引き継ぎます。サブリースの契約は、売主が解約しなくても、そのまま買主に引き継がれます。
民法605条の2は、賃貸借の対抗要件を備えた不動産が売られたとき、賃貸人たる地位は買主に移転すると定めています(民法605条の2第1項)。移転した場合、敷金の返還に係る債務も買主が承継します(同4項)。
サブリース付きの区分では、部屋を借りているのはサブリース業者です。入居者はサブリース業者から借りています。売主が売れば、サブリース業者との契約の貸主が買主に替わるだけで、入居者の暮らしは変わりません。
賃貸中のまま売る基本は、土地や一棟の文脈で広い土地を相続したら、売るか活かすかでも触れています。
危ういのは、売り方ではなく約束の仕方(契約書特約)です。「引渡しまでにサブリースを解約すること」を売主の義務として契約に書くと、解約できなかったとき、売主が契約違反を問われるおそれがあります。
同じ「解約」を入れるのでも、書き方は一つではありません。「解約できたら契約の効力が生じる」「解約できなかったら効力がなくなる」という条件の形(民法127条の停止条件・解除条件)なら、解約できなかったことだけで違約を問われる形は避けやすくなります。どちらの書き方になっているかは、署名の前に確かめてください。
解約してから売る道を選ぶ場合も、確かめることがあります。サブリースが終わると、オーナーがサブリース業者の転貸人の地位を引き継ぐ定めを置くよう、国土交通省はガイドラインで求めています(同ガイドライン)。解約しても空室になるとは限らず、入居者はそのまま残り、オーナーが直接の貸主になることがあるということです。この場合、正当の事由なく入居者の更新を断ることはできず、敷金を返す義務も引き継ぎます(同)。
売る前に確かめること①:契約書の4か所
結論:サブリースの契約書と、契約したときの重要事項説明書を手元に出し、①オーナーからの解約の条項 ②解約金 ③家賃の見直し ④更新の条件、の4か所を確かめます。
まず、オーナーから解約できる条項があるか。あるなら、何か月前に申し入れるか。次に、解約金の定め。家賃の何か月分か、ほかに費用がかかるか。3つ目に、家賃の見直しの時期と方法。最後に、契約期間と更新の条件です。
最近の契約であれば、サブリース業者は契約前に重要事項説明書を交付して説明する義務を負っています(賃貸住宅管理業法・同ガイドライン)。説明書には、家賃が減額される場合があることと、オーナーからの解約には正当の事由が必要であることの概要を書くことになっています(同ガイドライン)。まずはその書面を探してください。
古い契約で説明書が見当たらない場合は、サブリース業者に契約書の写しを求めることから始めます。4か所が分かれば、「解約が要る売り方か、要らない売り方か」を自分で選べるようになります。
売る前に確かめること②:「今の手出し」より、この先の数字
結論:売るかどうかの判断は、毎月の持ち出しだけでなく、この先のサブリース家賃、管理費・修繕積立金、残っているローンの3つで見ます。
ワンルームの価格は、いくらで貸せているかから逆算して決まることがほとんどです。サブリース家賃が下がれば、売れる値段にも響きやすくなります。家賃の見直しの時期が近いなら、その前後で何が変わるかを知っておくと、売る時期を考える材料になります。
管理費と修繕積立金も、この先の額を見ます。修繕積立金には、計画の期間中ずっと同じ額を積み立てる「均等積立方式」と、最初は低く抑えて段階的に上げていく「段階増額積立方式」があります(国土交通省 報道発表 令和6年6月7日)。新築のときに安かった積立金が、計画どおりに上がっていくことがあります。マンションの長期修繕計画を見れば、いつ、いくらになる予定かが分かります。
買主の側も、ここを見ます。区分のマンションを売るときの重要事項説明では、修繕積立金の規約の定めと既に積み立てられている額、管理費の額、修繕の実施状況の記録などを説明することになっています(宅地建物取引業法施行規則16条の2)。管理会社から取り寄せる書類を、売る前に揃えておくと話が早く進みます。
管理費や修繕積立金の滞納がある場合、管理組合はその分を買主にも請求できます(建物の区分所有等に関する法律8条)。そのため、売るときは決済の場で精算するのが普通です。滞納があることを隠して進めるより、先に金額を確かめて伝えるほうが、話はまとまりやすくなります。
最後に、残っているローンです。売るときは、決済でローンを返して抵当権を外すのが前提になります。売れる値段がローンの残りに届かない場合の考え方は、住宅ローンが残る家を売るにはで整理しています。投資用のローンでも、まず残高を確かめるところから始まるのは同じです。
税についても一点だけ。投資用の部屋は、確定申告で建物の減価償却をしているため、帳簿上の価額が買った値段より下がっています。買った値段より安く売っても、利益が出て税がかかることがあります。売る前に、申告書か税理士に帳簿上の価額を確かめてください。
売る前に確かめること③:誰に、どう売るか
結論:サブリースの条件を開示して引き継いでくれる買主を広く探すなら仲介、サブリースごと引き受ける買主に早く売るなら買取、という2つの道があります。どちらが合うかは、解約の見込みと、急ぐかどうかで変わります。
仲介で売る場合は、サブリースの条件をそのまま開示して、引き継いでくれる買主を広く探します。専任媒介や専属専任媒介で依頼すると、不動産会社は物件をレインズ(=不動産会社どうしが物件情報を共有する仕組み)に登録しなければなりません。期限は契約の日から7日、専属専任なら5日で、休業日は数えません(宅地建物取引業法34条の2・同施行規則15条の10)。
最初に連絡してきた1社だけで話を進めると、比べる相手がいないまま値段と条件が決まってしまいます。依頼先がほかの会社に情報を出しているかの確かめ方は、両手仲介と囲い込みをご覧ください。
買取の場合は、買主となる不動産会社がサブリースの契約ごと引き受ける形があります。売主は解約を約束しなくて済み、決済の日も読みやすくなります。ただし、買取の会社のなかにも、解約を売主の約束にする契約を求めるところがあるため、条項は同じように確かめてください。
明紗は、サブリース付きの区分を、契約のまま買い取る買主にもなる会社です。その後のサブリース業者との調整も、明紗が行います。買取価格は、買主が契約の調整と、その後の保有・売却を引き受ける前提で決まります。そのため、市場で売る想定を下回りやすくなります。
次のような場合は、仲介のほうが手取りは大きくなる可能性があります。
- サブリース業者が解約に応じる見込みがあり、解約金も含めて計算が立つ
- 空室にして、自分で住む人にも見せられる
- サブリース家賃が相場並みで、条件のよい契約になっている
- 売る時期を急がず、時間をかけて買主を探せる
反対に、解約の見込みが立たない、毎月の持ち出しを早く止めたい、ローンの残りとの調整が要る。そうした場合や、サブリース業者との交渉を自分でしたくない場合は、買取が合うことがあります。両方の比べ方は買取と仲介、どちらで売る?で詳しく整理しています。
不動産取引の現場から
明紗では、サブリース付きのワンルームの売却のご相談を日常的に伺っています。お引き受けする区分の多くは、サブリースが付いたままの部屋です。
お話を伺うとき、最初に拝見するのは物件の資料ではなく、サブリースの契約書と、契約したときの重要事項説明書です。解約が要るかどうかは、売主様ではなく、買主である明紗の側の課題として引き受けます。仲介でお手伝いするときも、サブリースの条件をそのまま開示して、引き継げる買主サイドを探します。
解約できるか分からないことを、売主様の約束にしてしまう契約は結びません。そこで無理をすると、手放したかった部屋が、もう一つの悩みに変わってしまう。私は、その形だけは避けたいと考えています。
どういう経緯で買った部屋かは、気にせずご相談ください。サブリース付きのまま、買取のご相談をお受けしています。
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代表メッセージもあわせてご覧いただけます。
サブリース付きの区分を売るときの、よくあるご質問
Q. サブリース業者が解約に応じてくれません。売るのはあきらめるしかありませんか。
賃貸中の部屋は、サブリースの契約が付いたまま売ることができます。売れば、賃貸人の地位と敷金を返す義務は買主に移ります(民法605条の2)。解約を売主の義務にする売買契約は避け、契約のまま引き継ぐ買主を探す道があります。
Q. 契約書に「オーナーから解約できる」と書いてあれば、解約できますか。
条項があっても、オーナーの側から解約するには借地借家法28条の正当の事由が必要とされています(国土交通省「サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン」)。解約金の定めがあることもあるため、条項と金額の両方を確かめてください。
Q. サブリースを解約すれば、空室になって高く売れますか。
解約しても、入居者はそのまま残り、オーナーが直接の貸主になることがあります(同ガイドライン)。空室にできるかは入居者との賃貸借次第です。解約金と、空室にできるかどうかを合わせて考える必要があります。
Q. 管理費の滞納があっても売れますか。
売ることはできます。滞納分は管理組合が買主にも請求できるため(建物の区分所有等に関する法律8条)、決済の場で精算するのが一般的です。まず管理会社に金額を確かめてください。
Q. 仲介で頼むなら、どの契約がよいですか。
1社に任せる専任媒介・専属専任媒介なら、レインズへの登録が義務になります(宅地建物取引業法34条の2)。複数の会社に頼める一般媒介との違いは、媒介契約の選び方で整理しています。
Q. 売ったあと、税金や保険料はどうなりますか。
投資用の部屋は帳簿上の価額で利益を計算するため、買った値段より安く売っても税がかかることがあります。翌年の住民税や国民健康保険料への影響は、売却後の翌年負担をご覧ください。個別の計算は税理士にご相談ください。
まとめ──解約の約束をしないで、手放す
まとめ
サブリース付きのワンルームは、解約しなくても、契約のまま買主に引き継いで売ることができます。オーナーの側からの解約には正当の事由が必要で、簡単には終わらせられない場合があります。気をつけたいのは、解約を売主の義務にする売買契約です。
売る前に確かめることは3つ。契約書の解約の条項・解約金・家賃の見直し・更新の条件。この先のサブリース家賃、管理費と修繕積立金、残っているローン。そして、広く探す仲介か、契約ごと引き受ける買取か。
手放し方に迷ったら、契約書を持って一度ご相談ください。ご相談は無料です。
本記事に関するご注意
- 本記事の内容は、執筆時点(2026年10月)の法令と、国土交通省の公表情報に基づいています。最新の情報は各機関の公式サイトでご確認ください。
- サブリース契約の解約の可否や解約金、売買契約の条項の効力は、契約の内容と個別の事情によって決まります。本記事は解約や売却の結果をお約束するものではありません。契約の解釈は弁護士、税額の計算は税理士へのご相談をお勧めします。
- 本記事は、お持ちの区分マンションを売る方に向けたもので、投資物件の購入をお勧めするものではありません。
- 明紗は買取において買主として直接買い取る立場であり、仲介の査定とは利害構造が異なります。仲介のほうが手取りが多くなるケースもあり、その場合は正直にお伝えしています。
サブリースの条件のまま、時間をかけて広く買主を探したい場合は、仲介でのご提案もできます(仲介のご案内)。
宅地建物取引業 千葉県知事第17957号
合同会社明紗
この記事を書いた人
中山裕章/合同会社明紗 代表
宅地建物取引士。流山市・柏市・松戸市・市川市の売却と買取を一貫してご担当しています。他社で断られた物件こそ、まずはMEISAに——を約束に、サブリース付きの区分も、契約のまま、解約の要否と契約の段取りまで含めてご一緒しています。査定根拠100%開示・最短15営業日決済。流山の相場感を大切に、一軒に一つの物語を。/代表メッセージ
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| 事業内容 | 不動産売買(買取・分譲)/不動産仲介(売買)/不動産賃貸/不動産活用の企画・コンサルタント |
| 免許番号 | 千葉県知事(2)第17957号 |
| メール | meta-meisa@memoad.jp |
| URL | https://meisa-estate.com |
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