住みながら売るか、空けてから売るか──決めるのは「期限」「家の状態」「荷物の量」の3つ

query_builder 2026/10/21
不動産売却
引越しの段ボールが積まれた、朝の光が入るリビング

次の住まいの鍵を受け取る日が決まった。先に引っ越して、空にしてから売り出すか。住んだまま売り出して、売れてから引っ越すか。不動産会社に聞くと、「どちらでも売れますよ」と返ってくる・・・

住みながら売るか、空けてから売るかに、どの家にも当てはまる正解はありません。決めるのは、あなたの期限、家の状態、荷物の量の3つです。この記事では、住み替えや親御さんの施設入居で戸建てやマンションを手放す方に向けて、居住中に売るとき、空けてから売るときに、売り出す前に決めておきたい段取りを整理します。

「空けたほうが高く売れますか?」

売却のご相談で、よく伺う問いがあります。「空けて、きれいにしてから売ったほうが高く売れますか?」。反対に、「住んだままだと、散らかっていて売れないでしょうか?」。

どちらの問いにも、家ごとに違う答えがあります。住んだまま売り出して、内見に来た買主さんと売主さんが、ご近所に関する話で打ち解け、そのまま申込みに進むこともあります。空けてから売り出して、家具のない部屋で広さが伝わり、話が早く進むこともあります。

その逆も起こります。空けてみたら、たんすの裏の壁に黒い染みが見つかった。久しぶりに空き家へ行くと、排水口から臭いが上がってきた。得か損かの二択で考えると、こうした家ごとの事情が抜け落ちてしまいます。

片付けの終わっていない家を見せるのは、気が引けるものです。けれど、住んだままの今の状態で、まずご相談ください。暮らしの跡が残る家だからこそ、次の住み手に伝えられることもあります。

決めるのは「期限」「家の状態」「荷物の量」の3つ

住みながら売るか空けてから売るかを、期限・家の状態・荷物の量の3つで決める判断表と、それぞれの場合に売り出す前に決めておく段取りを示した図

結論:住みながらか空けてからかは、①いつまでに売る必要があるか ②空けたときに傷みやすい家か ③荷物をどこまで減らせるか、の3つで決めます。どちらを選んでも、引き渡す日まで家を保つのは売主です(民法400条)。

1つ目は期限です。次の住まいの引渡し日、今の家と次の家のローンが重なる期間、そして税の特例の期限。空けてから売る場合、空けた日から数え始める期限があります(詳しくは後の節で)。期限がはっきりしているほど、空ける日を先に決める意味は大きくなります。

2つ目は家の状態です。人が住んでいる家では、毎日の換気や水回りの使用が自然に続きます。空けた家では、窓を開ける人も水を流す人もいなくなります。築年数を重ねた戸建てや、湿気のこもりやすい家ほど、空けたあとの手入れが要ります。

3つ目は荷物の量です。荷物の多い家を住んだまま見せると、部屋の広さや使い方が伝わりにくくなります。荷物を減らせるなら居住中でも見せ方は整えられ、減らせないなら空けてからのほうが見せやすい場合があります。

売主は、引き渡すまで、取引の常識に照らして求められる注意をもって家を保存しなければなりません(民法400条)。住んだままでも、空けてからでも、この役目は変わりません。担当者からどちらかを勧められたら、その理由を一度聞いてみてください。あなたの3つの事情に照らして説明できる担当者なら、話は進めやすくなります。

引渡しの時期や付帯設備など、売り出す前に決める条件の全体は、売り出す前に決めておく売却条件で整理しています。

住んだまま売るなら:引越しの前後で、家の状態をそろえる

結論:住んだまま売ると、仮住まいを挟まずに済みやすく、家も傷みにくく、暮らしを直接伝えられます。その代わり、家具の裏などの状態が見えないことと、引越しで家の状態が変わることへの段取りが要ります。

住んだまま売る利点の一つ目は、お金と手間です。売れるまで今の家に住めるので、引渡しの日を次の住まいに合わせられれば、仮住まいの家賃も、二度の引越しも要りません。次の家を買う住み替えでは、これが大きく効きます。

二つ目は、家が傷みにくいことです。毎日窓を開け、水を流し、掃除をする。住んでいれば当たり前に続くことが、家を保つ手入れになっています。

三つ目は、暮らしを語れることです。内見の場で買主が聞きたいのは、間取りよりも、朝の日当たりや近くのスーパー、上下左右の住戸の様子だったりします。担当者が答えられないことにも、住んでいる売主ならその場で答えられます。

居住中の売却で最初に気になるのは、広告に載せる写真かもしれません。写真は、物を片付けた部屋で撮るのが基本です。床に置いた物を収納にしまい、生活用品を目に入らない場所へ移すだけでも、部屋の広さは伝わりやすくなります。撮影の日は内見より先に来るので、荷物を減らすなら、まず撮影の日までに。新築やリフォーム済みの家を見て回っている買主のなかには、生活感のある部屋の内見をためらう方もいます。

家具の裏や下は、内見でも見られません。建物状況調査(=建物の基礎や外壁、雨漏りに関わる部分の状態を、専門の検査者が見る調査)も、家具で隠れた部分は見られないことがあります。媒介契約の書面には、建物状況調査をする者をあっせんするかどうかが書かれます(宅地建物取引業法34条の2)。気になる家なら、媒介契約のときに確かめてください。

住んだまま売るときにいちばん気をつけたいのは、引越しの日です。運び出しで壁紙を破る、床に傷をつける。たんすをどけたら、壁に黒い染みが出てくる。契約のときに買主が見た家と、引き渡すときの家が、違ってしまうことがあります。

引き渡された家が契約の内容に合わないとき、買主は売主に修補などを求めることができます(民法562条)。損傷の扱いが切り替わるのは引渡しの時で、引き渡したあとに、どちらの責任でもない理由で生じた損傷は、買主サイドの話になります(民法567条)。引越しで付いた傷は、引き渡す前の、売主サイドの話です。

そこで、引越しが終わったら、引渡しの前に、空になった部屋を担当者と一緒に見てください。傷や染みが見つかったら、直すのか、そのまま伝えるのかを決めて、買主サイドに先に伝えます。伝え方の考え方は、訳あり物件の買取でも触れています。

空けてから売るなら:傷ませない手当てと、内見の様子を聞く約束

結論:空けてから売ると、内見の日程を組みやすく、部屋の見せ方も整えられます。その代わり、家が傷みやすくなることと、内見の様子を自分の目で見られないことへの手当てが要ります。

空けてから売る利点は、まず内見の入れやすさです。売主の予定に合わせる必要がなく、買主の都合のよい日にいつでも案内できます。家具がないので、部屋の広さや寸法も測れます。荷物を運び出したあとに、家具を置いて部屋の使い方を見せる方法(ホームステージング)もあります。

空けた家では、人が暮らしていれば自然に続いていたことが止まります。窓を開ける、水を流す、郵便受けを空にする。夏場には、排水口にたまっていた水が乾いて、下水の臭いが上がってくることもあります。空けるなら、誰が、いつ、何をしに行くのかを、売り出す前に決めておきます。

火災保険も、住まなくなることを保険会社に伝え、契約の扱いを確かめてください。空けたあとも、引き渡すまで家を保つのは売主です。空き家のまま長く持つ場合の税の考え方は、空き家を放置したときの固定資産税で整理しています。

もう一つは、内見の様子です。空けた家では、誰が見に来て、どんな反応だったかを自分の目で見られません。様子を知る手立ては、担当者からの報告が中心になります。空けると決めたら、「内見のたびに、何組来て、どこを気にしていたかを教えてください」と、最初に頼んでおいてください。値段や見せ方を見直すときの材料になります。

空ける日に決まる「期限」と、売れなかったときの線

結論:家を空けた日から、数え始める期限があります。居住用財産の3,000万円特別控除は、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることが要件の一つです。空ける前に、期限と「売れなければどうするか」を決めておきます。

マイホームを売ったときは、所有期間の長短に関係なく、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例があります(国税庁 No.3302)。以前に住んでいた家も、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売れば、対象になります(同)。その間に人に貸していても、かまいません(同)。

たとえば2026年10月に引っ越した場合、3年を経過する日は2029年10月で、その年の12月31日、つまり2029年12月31日までに売ることになります。空ける日は、引越しの日であると同時に、売るまでの期限が一つ決まる日でもあります。

家を取り壊して土地で売る場合は、取り壊した日から1年以内に売買契約を結ぶことなどの要件が加わります(同)。親子や夫婦などへの売却は対象にならないなど、ほかにも要件があり、適用には確定申告が必要です(同)。使えるかどうかは、税務署か税理士に確かめてください。相続した実家の特例は別の制度で、こちらは貸すと対象になりません(国税庁 No.3306)。相続した空き家の特例と解体の期限で整理しています。

もう一つの期限は、お金です。住み替えで次の家を先に買うと、今の家と次の家のローンを同時に払う期間ができます。その期間をいつまで続けられるかも、売るまでの期限になります。

期限が迫ってから慌てると、選べる買主の幅が狭まります。住宅ローンを使う個人の買主は、審査に通らなければ契約が白紙に戻る条件(ローン特約)を付けて契約することがほとんどです。期限が近づくほど、その審査を待つ余裕がなくなり、すぐに決済できる買取の話が出てきます。

そこで、空ける前に、仲介で売り出す価格と合わせて、買取ならいくらになるかを一度確かめておく方法があります。「いつまでに、いくらで売れなければ、買取に切り替える」と線を引いておけば、期限の終わりに慌てて条件を下げずに済みます。

明紗は、仲介のお手伝いもしますが、買取では買主として直接買い取る会社です。買取価格は、その後の手入れや保有にかかる費用とリスクを買主が引き受ける前提で決まるため、仲介で売る想定を下回りやすくなります。次のような場合は、仲介のほうが手取りは多くなる可能性があります。

  • 期限に余裕があり、時間をかけて買主を探せる
  • 家の状態がよく、住んだままでも、空けてからでも見せられる
  • 荷物を減らせて、写真と内見で暮らしやすさが伝わる

反対に、期限が近い、空けた家の手入れに通えない、内見を何度も入れたくない事情がある。そうした場合は、現況のままの買取が合うことがあります。両方の比べ方は、買取と仲介、どちらで売る?で整理しています。

不動産取引の現場から

明紗では、住み替えや親御さんの施設入居を前に、「住んだまま売るか、空けてから売るか」のご相談を伺っています。最初にお聞きするのは、家の間取りよりも、「いつまでに」と「次の住まい」のことです。

片付けや引越しを済ませてから、相談しようとされる方もいらっしゃいます。けれど私は、住んだままの今の状態で一度価格を確かめ、そのうえで空けるかどうかを決めていただきたいと考えています。空けたあとでは、戻れない判断もあるからです。

内見で買主が知りたいのは、図面に載らない暮らしのことです。朝の光の入り方、近くのスーパー、夜の静けさ。それを自分の言葉で語れるのは、その家で暮らしてきた方だけです。

住んだままでも、空けてからでも、売却のご相談をお受けしています。

→ 売却の無料相談はこちら(住んだままでも、空けてからでも)

代表メッセージもあわせてご覧いただけます。

住みながら売るか空けてから売るか、よくあるご質問

Q. 住みながら家を売ることはできますか。

できます。内見は住んだまま受け、引越しは売買契約のあと、引渡しの日までに済ませる形が多くあります。引渡しの日まで家を保つのは売主のため(民法400条)、引越しで付いた傷は、引渡しの前に確かめておいてください。

Q. 空けてからのほうが高く売れますか。

どちらが高く売れるかは、家の状態や荷物の量、売り出す時期によって変わり、一概には言えません。空けると広さや寸法が伝わりやすい一方、換気や通水が止まって傷みやすくなります。期限、家の状態、荷物の量の3つで判断してください。

Q. 引っ越したあと、いつまでに売れば3,000万円の特別控除が使えますか。

住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることが、要件の一つです(国税庁 No.3302)。その間に家を貸していても、期限内に売れば対象になります(同)。ほかの要件もあるため、使えるかどうかは税務署か税理士に確かめてください。

Q. 引越しで付けた傷は、誰が直すのですか。

引き渡す前に付いた傷は、売主サイドの話です。引き渡された家が契約の内容に合わないとき、買主は修補などを求めることができます(民法562条)。引越しのあと、引渡しの前に空の部屋を確かめ、直すか、そのまま伝えるかを決めてください。

Q. 住んだまま売る場合と空けてから売る場合で、かかるお金はどう違いますか。

住んだまま売る場合は、引渡しの日までに次の住まいが用意できなければ、仮住まいの費用がかかることがあります。空けてから売る場合は、売れるまで今の家の固定資産税や管理費、ローンを払い続けます。売却にかかる費用の全体は、売却にかかる費用で整理しています。

まとめ──空ける日を決める前に、3つの事情を並べる

まとめ

住みながら売るか、空けてから売るかに、どの家にも当てはまる正解はありません。決めるのは、期限、家の状態、荷物の量の3つです。どちらを選んでも、引き渡す日まで家を保つのは売主です。

住んだまま売るなら、引越しのあと、引渡しの前に空の部屋を担当者と一緒に見る。空けてから売るなら、空けた日を書き留め、管理の分担と、売れなければどうするかの線を先に決める。空ける日は、売るまでの期限が一つ決まる日でもあります。

迷ったら、住んだままの今の状態で、一度ご相談ください。ご相談は無料です。

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本記事に関するご注意

  • 本記事の内容は、執筆時点(2026年10月)の法令と、国税庁の公表情報に基づいています。最新の情報は各機関の公式サイトでご確認ください。
  • 税の特例を使えるかどうかは、個別の要件によって決まります。本記事は売却の結果や特例の適用をお約束するものではありません。税額の計算と特例の適用は税理士または税務署、契約の解釈は弁護士へのご相談をお勧めします。
  • 明紗は買取において買主として直接買い取る立場であり、仲介の査定とは利害構造が異なります。仲介のほうが手取りが多くなるケースもあり、その場合は正直にお伝えしています。

期限が迫っている、内見を何度も入れたくない事情がある場合は、現況のままの買取もご相談いただけます(買取のご案内)。

宅地建物取引業 千葉県知事第17957号
合同会社明紗

この記事を書いた人

中山裕章/合同会社明紗 代表

宅地建物取引士。流山市・柏市・松戸市・市川市の売却と買取を一貫してご担当しています。他社で断られた物件こそ、まずはMEISAに——を約束に、住み替えや施設入居で家を空ける前のご相談から、売り出しの段取り、引渡しまでご一緒しています。査定根拠100%開示・最短15営業日決済。流山の相場感を大切に、一軒に一つの物語を。/代表メッセージ

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