実家が売れなくなる前に。2026年に義務化された「住所変更登記」と売却前の登記チェック【流山市】

query_builder 2026/06/18
不動産売却
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相続した実家は、

①名義が亡くなった親のまま、

②登記簿の住所・氏名が古いまま、

③増築が未登記のまま


——この3つの「登記の不整合」があると、売却の手続きが止まります。2024年4月の相続登記の義務化に続き、2026年4月からは住所・氏名の変更登記も義務化されました。


理由は次の3点に整理できます。

  • 名義が亡くなった方のままでは、買主への所有権移転(売却の決済)に進めません
  • 登記簿の住所・氏名が現在と食い違っていると、所有権移転登記の申請が却下されます
  • 増築が未登記だと、買主の住宅ローン審査に影響する可能性があります

この記事でわかること

  • 3つの「登記の不整合」それぞれの実害と、義務化の期限・過料の正確な仕組み
  • 「相続人申告登記だけでは売却できない」という見落としやすい注意点
  • 流山市の実家で、今日からできる登記チェックの手順と相談窓口・費用の目安

なぜ「登記の不整合」で実家の売却が止まるのか?

結論:登記簿は不動産の所有者を公的に示す唯一の記録です。その記録が現実と食い違っていると、買主への名義変更(所有権移転登記)の前提が崩れ、物件の良し悪し以前のところで売却が止まります。


たとえば、流山市内のご実家を3年前に相続した。名義は亡くなったお父様のまま。ご自身は市外に住み、月に一度の風通しに通っている。「そろそろ売却を」と考え始めたとき、最初の壁になるのは価格でも立地でもなく、登記簿と現実の食い違いであることがありえます。

登記の不整合は、次の3つのパターンに整理できます。


不整合 状態 売却への影響
① 相続登記の未了 名義が亡くなった親のまま 所有権移転に進めない(売却手続きの前提を欠く)
② 住所・氏名変更登記の未了 登記簿の住所・氏名が古いまま 移転登記の申請が却下される(不動産登記法第25条第7号)
③ 増築部分の未登記 登記簿の床面積と現況が違う 買主の住宅ローン審査に影響する可能性

国がこの数年で登記の義務化を進めている背景には、所有者が分からず管理も処分もできない「所有者不明土地」や空き家を増やさない、という狙いがあります(法務省「相続登記の申請義務化について」)。

登記簿で所有者と連絡先をたどれるようにしておくことは、社会の要請であると同時に、売主にとっては「売れる状態を保つこと」そのものでもあります。

なお、土地の境界が確定していない場合も売却の支障になりますが、これは登記とは別の論点です。境界と確定測量については、別の記事で詳しく整理しています。本記事は「登記」に絞ってお伝えします。

不整合①:名義が亡くなった親のまま——相続登記をしないと売れない?

結論:売却には相続登記が必要です。2024年4月から申請が義務化され、不動産の取得を知った日から3年以内の申請が求められます。施行日より前に相続した分も対象で、期限は2027年3月31日です。


相続登記とは、亡くなった方の名義を相続人の名義に変更する登記です。法務省は、相続した不動産を売却したり抵当権を設定したりする場合には相続登記が必要であると明示しています(法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」)。


名義が親のままでは、買主への名義変更の手続きを進められないため、売却を考え始めた段階で済ませておくことが実務上の前提になります。

「期限と過料の正確な仕組み

2024年4月1日に施行された改正で、相続登記は義務になりました。期限は「相続の開始を知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内」です(不動産登記法第76条の2第1項/e-Gov法令検索)。亡くなった日からではなく、「知った日」から数える点に特徴があります。


施行日より前に相続した不動産も対象です。この場合の期限は「知った日または施行日のいずれか遅い日から3年」、実務的には2027年(令和9年)3月31日までとされています(法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」)。


正当な理由なく申請を怠ると、10万円以下の過料(=刑事罰の罰金とは異なる、行政上のペナルティ)の対象になります(不動産登記法第164条第1項)。


ただし、期限を過ぎたら直ちに過料が科されるわけではなく、登記官の催告を経てもなお正当な理由なく申請しない場合に限り、裁判所が判断する運用です(詳しくは後半のFAQで触れます)。過度に恐れる必要はありませんが、売却を考えるなら期限とは関係なく先に済ませておきたい手続きです。

「相続人申告登記」だけでは売却できません

ここで注意したいのが、2024年に始まった「相続人申告登記」です。これは、期限内に相続登記が難しい場合に、自分が相続人であることを法務局に申し出ることで義務を果たしたことにできる簡易な仕組みです(登録免許税もかかりません)。


ただし、相続人申告登記は権利関係を公示するものではないため、この申出だけでは不動産を売却したり、抵当権を設定したりすることはできません(法務省「相続人申告登記について」)。売却するには、遺産分割協議などを経た相続登記が別途必要です。「申告登記を済ませたから大丈夫」と考えて売却の直前に慌てるケースが想定されるため、売却を視野に入れている方は、最初から相続登記そのものを目指すことをお勧めします。

相続した実家の前で立ち止まり家を見上げる売主

不整合②:登記簿の住所・氏名が古いまま——2026年4月から何が変わった?

住所・氏名の変更登記が義務になりました

結論:2026年4月1日から、住所・氏名の変更登記が義務化されました。変更から2年以内に申請しないと5万円以下の過料の対象です。施行前の変更分は2028年3月31日が期限です。また、登記簿の住所・氏名が現在と一致しないままでは、売却時の所有権移転登記の申請が却下されます。


引っ越しや結婚で住所・氏名が変わっても、不動産の登記簿は自動では書き換わりません。これまでは、変更登記を放置しても罰則はありませんでした。しかし2026年4月1日に施行された改正不動産登記法で、「変更があった日から2年以内」の申請が義務になりました(不動産登記法第76条の5/e-Gov法令検索)。正当な理由なく怠ると5万円以下の過料の対象です(同法第164条第2項)。施行日より前の変更分にも適用され、期限は2028年(令和10年)3月31日までです(法務省「住所等変更登記の義務化について」)。


「スマート変更登記」を使えば、法務局が職権で変更してくれます

2025年4月から、個人の方は「検索用情報の申出」(氏名の振り仮名・生年月日・メールアドレス等の登録)ができるようになりました。申出をしておくと、法務局が住基ネットへの定期照会で住所変更を把握し、本人がメールで了解すれば職権で(無料で)変更登記をしてくれます。


今後の住所変更については、この仕組みを使えば「2年以内」の義務を自分で追いかける負担はかなり軽くなります。

法務局で相続登記の申請書類を提出する手元

不整合③:増築が未登記のまま——買主の住宅ローンに影響する?

登記簿と現況の食い違いが、買主の資金調達に影響します

結論:登記簿の床面積と現況が食い違っていると、金融機関から現況に合わせる登記(建物表題変更登記)を求められるのが一般的とされ、買主の住宅ローン審査に影響する可能性があります。増築から1ヶ月以内の表題変更登記は、もともと法律上の義務でもあります。


昭和の時代に応接間や子ども部屋を継ぎ足した、車庫を増設した——そうした増築は、本来、変更があった日から1ヶ月以内に「建物表題変更登記」を申請する義務があります(不動産登記法第51条第1項。正当な理由なく怠った場合は10万円以下の過料の対象です)。しかし実際には、住んでいる分には困らないため、登記されないまま受け継がれている建物が見受けられます。


問題は売却の場面で表面化します。買主の多くは住宅ローンを利用します。金融機関が抵当権を設定する際、実際の建物と登記簿の表示が違っていれば、現況と登記簿を合わせる表題部変更登記を求められるだろうと業界団体も説明しています(佐賀県土地家屋調査士会)。


また、フラット35では融資の技術基準の床面積判定に建物の登記事項証明書が用いられます(住宅金融支援機構)。登記と現況の食い違いは、買主の資金調達の選択肢を狭め、結果として売却条件に影響し得るのです。

築古戸建てのご相談で感じること

築年数の経った戸建てのご相談では、図面と登記簿の床面積が合わない——昭和の時代に増築された部屋が登記に反映されていない——というケースに出会うことがあります。


住まいとして使う分には何も困らなかったものが、売却の場面で初めて表面化する。登記の食い違いとは、そういう静かな問題だと感じています。売却予定がまだ先でも、「父が増築していた気がする」という記憶があるなら、登記簿と現況の照合だけ先に済ませておく価値があります。


増築部分の登記(建物表題変更登記)は、土地家屋調査士が調査・測量から申請までを代理できる手続きです。費用の目安は次の章で整理します。

自宅でオンラインの住所変更登記手続きを確認する売主

売却前の登記チェックは何から始める?──費用と依頼先の整理

MEISAが査定のご相談で最初に確認するもの

結論:まず登記事項証明書(登記簿謄本)を1通取得し、「名義・住所氏名・床面積」の3点を現況と見比べます。不整合が見つかったら、名義と住所は司法書士、増築の登記は土地家屋調査士が相談先になります。


流山市内の査定のご相談を受けるとき、最初に確認するもののひとつが登記事項証明書です。ご相談のなかには、名義が亡くなったお父様のままだったり、登記簿の住所が二度前のお引っ越しの時のままだったり、という状態が珍しくありません。ご本人にとっては「いつか直そうと思っていた」ことが、売却のスケジュールを左右する分かれ目になります。

手順1:登記事項証明書を取得する

登記事項証明書は、物件の管轄に関係なく最寄りの法務局窓口・郵送・オンラインで請求できます。手数料は窓口・郵送600円、オンライン請求なら郵送受取520円・窓口受取490円です(法務省・2025年4月1日改定/2026年6月確認)。オンラインはWebブラウザの「かんたん登記・供託申請」から平日21時まで請求できます(2026年6月確認)。


流山市の不動産登記を管轄するのは千葉地方法務局松戸支局(松戸市岩瀬473番地18・JR/新京成「松戸」駅から徒歩約10分、管轄は松戸市・流山市の2市)です(千葉地方法務局/2026年6月確認)。

手順2:3点を現況と照合する

確認箇所 見るポイント 食い違っていたら
権利部(甲区)の所有者 亡くなった親の名義のままになっていないか 相続登記(司法書士)
所有者の住所・氏名 現在の住所・氏名と一致しているか 住所・氏名変更登記(司法書士)
表題部の床面積・構造 増築・改築が反映されているか 建物表題変更登記(土地家屋調査士)

手順3:依頼先と費用の目安を把握する

手続き 依頼先 費用の目安(いずれも設例に基づく平均値)
相続登記 司法書士 報酬平均 約7.5万円(土地1筆+建物1棟・評価額計1,000万円の設例)+登録免許税(固定資産税評価額の0.4%)
住所・氏名変更登記 司法書士(自分でも申請可) 報酬平均 約1.4万円
建物表題変更登記 土地家屋調査士 報酬平均 約9.1万円(全国・令和4年度調査)

出典:国税庁タックスアンサー No.7191、日本司法書士会連合会・令和6年報酬アンケート、日本土地家屋調査士会連合会・令和4年度報酬実態調査(いずれも2026年6月確認)。


物件の状況・相続人の数などにより増減します。なお、評価額100万円以下の土地の相続登記は、2027年3月31日まで登録免許税が免税になります(租税特別措置法第84条の2の2第2項・申請書への条項記載が必要)。


費用だけを見ると小さくない金額ですが、相続登記も住所変更登記もいずれ果たすべき義務です。「いずれやるものなら、売却の準備として今やる」と捉えると、期限に追われずに段取りを組めます。

無料で相談できる窓口(流山市)

  • 流山市役所・市民相談室:司法書士による登記相談など各種無料相談(予約:04-7158-1616)。日程・枠数は変わることがあるため、最新は流山市公式サイトまたは広報ながれやま1日号でご確認ください
  • 千葉司法書士会:無料電話相談 0120-971-438(月・水曜午後)ほか、毎週土曜の相続・登記電話相談
  • 法務局の「登記手続案内」:完全予約制・1回20分以内。申請書作成に必要な情報提供の場で、個別の判断や書類作成の代行はありません

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よくあるご質問

Q1. 相続登記が終わっていなくても、売却の相談や査定は始められますか?

はい、始められます。査定や売却方針のご相談は、相続登記が完了する前でも可能です。ただし、買主への所有権移転(決済)までには相続登記を済ませておく必要があるため、売却活動と並行して早めに司法書士へ依頼しておくと、スケジュールに余裕が生まれます。

Q2. 住所変更登記は自分でもできますか?

できます。法務局の窓口・郵送のほか、オンラインでも申請できます。また、2025年4月から始まった「検索用情報の申出」(スマート変更登記)をしておけば、以後の住所変更は法務局が職権で(無料で)登記してくれる仕組みもあります(法務省/2026年6月確認)。


住所を複数回移している場合や戸籍の収集が必要な場合など、手間が大きいときは司法書士に依頼する選択肢もあります(報酬の目安は平均約1.4万円・設例による平均)。

Q3. 期限を過ぎたら、すぐに過料を払うことになるのですか?

すぐに科されるわけではありません。登記官からの催告を受けてもなお、正当な理由なく申請しない場合に限って裁判所に通知され、裁判所が過料を科すかどうかを判断します。相続人が極めて多数にのぼる場合や遺産の範囲に争いがある場合など、「正当な理由」の類型も示されています(法務省/2026年6月確認)。

とはいえ、売却を考えるのであれば、期限の有無にかかわらず登記は先に整えておくほうが安心です。

Q4. 増築が未登記の家は、登記しないと売れないのでしょうか?

「売れない」と断定はできませんが、買主が住宅ローンを利用する場合、金融機関から登記と現況を一致させる表題変更登記を求められるのが一般的とされています。買主の資金調達の選択肢が狭まると、売却条件にも影響し得るため、売却前に土地家屋調査士へ相談して登記を現況に合わせておくことをお勧めします。

Q5. 名義が親ではなく、祖父母の代のままになっています。どうすればよいですか?

相続が二代以上重なっている状態(数次相続)です。世代をさかのぼるほど相続人の数が増え、遺産分割の協議が難しくなる傾向があります。

このケースは早めに司法書士へ相談することをお勧めします。なお、亡くなった方を名義人にする一定の相続登記には登録免許税の免税措置もあります(租税特別措置法第84条の2の2・2027年3月31日まで)。

Q6. 流山市の実家ですが、遠方に住んでいて法務局に行けません。

登記事項証明書は、物件の管轄に関係なく最寄りの法務局・郵送・オンラインで取得できます。登記の申請もオンラインや郵送に対応しているほか、司法書士・土地家屋調査士に依頼すれば来局の必要はほとんどありません。まずはオンラインで登記事項証明書を1通取得し、現況との食い違いを確認するところから始めてみてください。

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登記事項証明書と現況をチェックリストで照合する手元

まとめ:登記を現実に揃えることが、実家売却の最初の準備です

この記事の要点

  • 売却が止まる「登記の不整合」は、①相続登記の未了、②住所・氏名変更登記の未了、③増築の未登記の3つです
  • 相続登記は2027年3月31日、施行前の住所・氏名変更分は2028年3月31日が期限です(いずれも正当な理由なき未申請は過料の対象)
  • 相続人申告登記だけでは売却できません。売却には相続登記が必要です
  • まず登記事項証明書を1通取得し、「名義・住所氏名・床面積」の3点を現況と照合することが最初の一歩です

登記の整理は、売却の直前に慌ててやるより、「売るかどうか迷っている今」に済ませておくほうが、結果として選択肢を広く保てます。期限や過料があるから、ではなく、ご実家の物語を次の方へ渡す準備として。そんなふうに捉えていただけたらと考えています。

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著者情報

中山裕章(合同会社明紗 代表)
宅地建物取引業免許:千葉県知事 第17957号
代表一貫対応・最短15営業日決済を掲げ、流山市・柏市・松戸市・市川市の売主を中心にご相談を受けています。


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本記事に関するご注意(免責)・参考資料

  • 本記事の内容は、執筆時点(2026年6月)の法令・税制・市場動向に基づいています。最新情報は法務省・法務局など管轄機関の公式情報をご確認ください。
  • 個別具体的な不動産売却・登記・税務のご相談は、宅地建物取引業者・司法書士・土地家屋調査士・税理士など各分野の有資格者へのご相談をお勧めします。
  • 本記事に記載された金額・期間・条件は一般的な目安であり、物件・状況により異なります。正確なお見積もりは無料査定をご利用ください。


参考資料(いずれも2026年6月確認):

  • 法務省「相続登記の申請義務化について」「相続登記の申請義務化に関するQ&A」「相続人申告登記について」「住所等変更登記の義務化について」「スマート変更登記のご利用方法」
  • e-Gov法令検索「不動産登記法」(第25条・第51条・第76条の2・第76条の3・第76条の5・第164条)
  • 国税庁タックスアンサー No.7191
  • 日本司法書士会連合会「報酬アンケート」/日本土地家屋調査士会連合会「令和4年度報酬実態調査」
  • 千葉地方法務局松戸支局/流山市公式サイト
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