実家の権利関係、親が元気なうちに──揉める家と揉めない家の差は「たった一つ」【流山市】
実家を将来売るかもしれないなら、親が元気なうちに「権利関係」を一度確認しておくことをお勧めします。名義・ローン・権利の種類・相続人・境界。この5つが曖昧なまま相続を迎えると、売却が止まり、身内の話し合いも難しくなることがあるからです。
理由を3つ、先にお伝えします。第一に、これらは親が亡くなった後では、本人にもう聞けなくなること。第二に、判断力が低下すると、家そのものを動かせなくなる場合があること。第三に、揉める家と揉めない家の分かれ目になりやすいのは、複雑な手続きではなく「親が元気なうちに家族で一度話せたかどうか」という一点であること。
この記事でわかること
- なぜ、実家の権利関係を「親が元気なうち」に確認するのか
- 売る前に確認しておきたい5つのこと(名義・ローン・権利・相続人・境界)
- 揉める家と揉めない家を分ける、たった一つの違い
- 聞きにくい話を、角を立てずに切り出す3つの方法
- 流山市で実家の今後を考えるときの相談先
久しぶりの帰省。食卓で、少し小さくなった親の手を見て、ふと思います。「この家、名義は誰のままなんだろう」。聞きたいけれど、切り出せない。売る話なんて持ち出したら、まるで親の最期を待っているようで——。
湯呑みを置く音だけが、台所に静かに響く。
そんな「聞けないまま」の食卓。遠くに住んでいて、すぐには動けない。親はまだ元気で、自分のことは自分でやれている。だから、つい「もう少ししてから」と先延ばしにしてしまう。
けれど、実家のことは、親に判断力があるうちと、亡くなった後とで、確かめやすさがまるで変わります。
この記事は、流山市でご実家を持つあなたが、「何を、いつ確認しておけばいいか」を順番にたどれるようにするための地図です。
なぜ、実家の権利関係は「親が元気なうち」に確認するのですか?
結論:権利関係(名義・権利の種類・相続人・境界など)は、いちばん正確に答えられるのが親本人だからです。亡くなった後では本人に聞けず、ご家族が他の相続人と協力して一から調べ直すことになります。判断力が低下した場合は、家そのものを動かせなくなることもあります。
実家から離れて暮らすお子さん世代の多くは、実家の権利関係を詳しくはご存じありません。普通に暮らしている分には困らないため、確認する機会がないまま時間が過ぎていきます。これは、ごく自然なことです。
問題が表に出るのは、相続が起きたときです。「父の家だと思っていた」「ここまでが自分の家の敷地だと思っていた」——その「思っていた」を確かめようにも、いちばん事情を知る親は、もういません。境界の記憶も、昔の約束も、本人にしか分からないことが少なくないのです。
さらに気をつけたいのが、判断力の問題です。親が脳梗塞や認知症などで判断力を失うと、売買契約を結ぶ力(意思能力)がないとみなされ、契約が無効になることがあります(民法第3条の2/2026年6月確認)。そうなると、家を売ることも貸すことも難しくなります。認知症と診断されても直ちに契約ができなくなるわけではなく、判断能力の程度によりますが、いつその時が来るかは誰にも分かりません。
参考までに、厚生労働省が2024年5月に公表した将来推計では、65歳以上の約12.3%が認知症、約15.5%が軽度認知障害(MCI)と推計されています。認知症とその予備群を合わせると、およそ4人に1人という計算です(厚生労働省・2024年5月公表の将来推計/2026年6月確認)。脅すための数字ではありません。「いつか確認するものなら、話せる今のうちに」と考える、静かな理由としてお受け取りください。
なお、判断力が低下した後に実家を売る方法(成年後見制度)もあります。元気なうちにできる制度的な備え(家族信託・任意後見など)とあわせて、親が認知症になると、実家は売れなくなる──元気なうちにできる3つの備えで詳しくご説明しています。
実家について確認しておきたい5つのこととは?
①土地と建物の名義は誰になっているか
結論:親が元気なうちに確認しておきたいのは、①土地と建物の名義、②住宅ローンの残債・抵当権、③所有権か借地権か、④相続人は誰か、⑤隣地との境界、の5つです。どれも、相続後に調べ直すと手間がかかり、売却の足かせになりやすい項目です。
ひとつずつ、順番に見ていきます。難しい手続きの話ではありません。「親に一度聞いておく」「書類を一通取っておく」だけで、後の負担が大きく変わります。
まず確認したいのが、実家の土地と建物が誰の名義かです。先祖代々の家では、お父さま・お母さまではなく、おじいさまの名義のまま残っていることもあります。かつては相続のたびに名義を変えなくてもよかったため、古い名義が眠っているケースは珍しくありません。
名義は、法務局で登記事項証明書(旧・登記簿謄本)を取れば、誰でも確認できます。手数料は600円程度です(法務局/2026年6月確認)。なお、相続登記は2024年4月1日から義務化され、不動産の取得を知った日から3年以内の申請が必要になりました。怠ると10万円以下の過料の対象となります(法務省/2026年6月確認)。
この義務化を、「実家の名義をはっきりさせる、いい機会」として使うこともできます。登記の不整合をどう解消するかは、2026年登記義務化──実家の売却が止まる「登記の不整合」3つで詳しく扱っています。
②住宅ローンの残債・抵当権は残っていないか
多くの実家ではローンを完済済みですが、まれに建て替えなどで残債が残っていることがあります。ローンが残っていると、その不動産には抵当権(=お金を借りる担保として設定される権利)がついています。
これを知らないまま相続すると、借入れも引き継ぐことになりかねません。残債の有無は、親に一度確認しておくと安心です。
③所有権か、借地権か
土地を自分で所有しているのか、それとも土地は借りていて建物だけが自分のものなのか。これも大きな分かれ目です。借地(=他人の土地を借りて家を建てている状態)の場合は地代が発生し、売却時に地主の承諾が必要になることがあります。売れるか売れないか、いくらで売れるかが変わってくるため、早めに確かめておきたい項目です。
④相続人は誰になるか
親が亡くなったとき、法律上、誰が相続人になるのか。お子さんだけでは把握しきれないことがあります。たとえば親が再婚していて前の配偶者との間に子がいる場合、その方にも相続権があります。
相続人が増えるほど話し合いは複雑になります。デリケートな話ですが、「うちの相続人は誰なのか」を親が元気なうちに整理しておくと、後の混乱を防げます。
⑤隣地との境界は確定しているか
最後が、隣の土地との境界です。境界が「なんとなくこのあたり」のまま相続すると、売るときに問題になりやすく、場合によっては売却そのものが止まることもあります。買い手は、隣家との境界トラブルを抱えた家を避けるからです。
境界は、親が元気なうちなら「以前、隣のお宅とここで決めた」と本人が説明できます。けれど相続後では、子世代が確認しようにも、隣家との言い分が食い違ったまま押し切られてしまうことすらあります。境界標(=境界を示す杭やプレート)の有無も含め、一度確かめておきましょう。確定測量が必要かどうかの実務や費用については、土地の売却に境界確定測量は本当に必要?でご説明しています。
これら5つは、いずれも「親に聞く」「書類を一通取る」ところから始められます。とはいえ、何から手をつけるべきか迷うときは、まず実家にいくらの値がつくかを知るのが近道です。税理士や司法書士との連携が必要な場面も含め、明紗では相続を見据えたご相談をお受けしています。
揉める家と揉めない家、分かれ目はどこにありますか?
結論:分かれ目になりやすいのは、複雑な手続きではなく「親が元気なうちに、家族で一度話し合えていたか」という一点です。揉めない家には、親の側から境界や売却の意向を子に伝えていた、という共通点が見られます。
不動産は、金額の大きな資産です。流山市でも地価が上がり、実家が想像以上の資産になっているお宅は少なくありません。だからこそ、誰がどう引き継ぐかで意見が割れやすく、身内同士の揉め事につながりやすいのです。
権利関係をきちんと把握できているご家庭に「どうして分かるのですか」と伺うと、答えはとてもシンプルです。「親から聞いていたから」。普段から親とよく話している家は、自然と知っているのです。
揉めない家には、もう一つ共通点があります。親の側から、「隣との境界はここだからね」「いずれ売ってもいいよ」と、子に伝えていること。後で問題になると分かっているからこそ、元気なうちに言葉にして残しているのです。手続きの巧拙ではなく、この「一度の対話」があったかどうかが、後の明暗を分けます。
聞きにくい話を、どう切り出せばいいですか?
角を立てない、3つの切り出し方
結論:いきなり「実家を売る話」から入らないことです。①親の老後の計画として切り出す、②帰省などの自然なタイミングで触れる、③専門家など第三者を交える、の3つが、角を立てにくい入り口になります。
頭では「聞いておいたほうがいい」と分かっていても、いざとなると切り出せない。「親の死を待っているようで不謹慎だ」と思われそうで、口に出せない。この聞きにくさこそが、先送りの正体です。だからこそ、入り方を工夫します。
ひとつ目は、親の老後の計画として切り出すこと。「実家をどうするか」ではなく、「お父さん・お母さんのこれからを、一緒に考えたい」という入り口にします。家族みんなのための話にすると、親も身構えにくくなります。
ふたつ目は、自然なタイミングを使うこと。お盆や正月など、家族が集まる折に、食事をしながらさらりと触れる。改まって「相続人は誰?」と切り出すと、かえって怪しまれます。肩の力が抜けた場で、少しずつ聞くのがコツです。
みっつ目は、第三者を交えること。専門家など外の人がいると、感情的になりにくく、「それもそうだね」と冷静に受け止めてもらいやすくなります。話し手が変われば、空気も変わるのです。この記事自体を、「こう書いてあったよ」と親御さんに見せていただくのも、一つの入り口になります。
相談先に迷ったら、相続に明るい不動産会社や、税金なら税理士、権利関係なら司法書士が頼りになります。ただ、それぞれ別々に訪ねると親御さんも疲れてしまいます。専門家と連携してまとめて相談できる窓口を、一つ持っておくと安心です。
流山の現場から
明紗では、流山市の売主さんから「親が遺した家を売りたいが、隣との境界がはっきりしない」というご相談を、よくお伺いします。
確定測量や隣地との立会いは、親御さんがご健在ならひと言で済んだはずのことが、相続後には数か月仕事になることも珍しくありません。これは、避けられたはずのご苦労だと私は考えています。
だからこそ、売る予定がまだ先でも、親御さんが元気なうちの「一度の確認」と「一度の対話」をお勧めしています。何から手をつければいいか分からないときは、まず実家にいくらの値がつくのかを確かめるところからで構いません。査定の根拠は、すべてお見せします。それが、ご家族で話し合うための、いちばん確かな材料になります。
よくあるご質問
Q. 実家の名義は、どうやって確認すればいいですか?
法務局で登記事項証明書(旧・登記簿謄本)を取得すれば、誰でも確認できます。手数料は600円程度です。窓口のほか、オンラインでの請求もできます。親に直接聞きづらい場合でも、書類で名義人を確かめることは可能です(法務局/2026年6月確認)。
Q. 親名義の家は、親が認知症になると売れなくなりますか?
判断力(意思能力)を失ったとみなされると、ご本人だけでは売買契約を進められなくなることがあります。ただし、認知症と診断されても直ちに売れなくなるわけではなく、判断能力の程度によります。心配な場合は早めに専門家へ。判断力が低下した後の売却方法や元気なうちの備えは、親が認知症になると、実家は売れなくなるで詳しくご説明しています。
Q. 親に切り出すのが、どうしても気が重いです。
いきなり「売る話」から入らず、親御さんの老後の計画として切り出す、帰省の折に自然に触れる、専門家など第三者を交える、といった入り口がお勧めです。この記事を「こう書いてあったよ」と見せていただくのも、一つの方法です。売る・売らないを、その場で決める必要はありません。
Q. 境界が曖昧なままだと、本当に売れないのですか?
「売れない」と断定はできませんが、境界が確定していない土地は買い手が敬遠しやすく、売却の足かせになることがあります。隣地とのトラブルを引き継ぎたい買い手は多くありません。確定測量が必要かどうかは状況によります。詳しくは境界確定測量は本当に必要?をご覧ください。
Q. 相続が起きてからでは、もう手遅れですか?
手遅れということはありません。相続後でも、登記事項証明書を取り、相続人や境界を確認しながら売却を進めることはできます。ただし、本人に聞けない分、調べ直しに手間がかかります。相続後の実家・空き家の売却全体の流れは、相続した実家・空き家の売却で整理しています。
Q. 流山市では、どこに相談すればいいですか?
実家の売却や価値については、地域の不動産会社にご相談いただけます。明紗では、必要に応じて税理士・司法書士とも連携してご対応します。登記や相続の手続きそのものは司法書士、税金は税理士が専門です。窓口を一つにまとめておくと、親御さんの負担も軽くなります。
まとめ
実家の売却が止まる原因は、物件や市況よりも先に、「家族が権利関係を知らないこと」にあることが少なくありません。名義・ローン・権利の種類・相続人・境界。この5つを、親が元気なうちに確認しておく。それだけで、後の負担は大きく変わります。
そして、揉める家と揉めない家を分けるのは、複雑な手続きではありません。親が元気なうちに、家族で一度話せたかどうか。たったそれだけのことが、いちばん大きな差になります。聞きにくい話だからこそ、入り方を工夫して、少しずつ。
焦って決める必要はありません。まずは、実家にいくらの値がつくのか。そこから一緒に確かめさせてください。それが、ご家族で話し合うための、確かな第一歩になります。
ご相談だけのご利用も歓迎しています。費用は発生しません。仲介での売却が難しいご事情がある場合は、買取という選択肢もご案内できます。
本記事に関するご注意
- 本記事の内容は、執筆時点(2026年6月)の法令・税制・市場動向に基づいています。最新情報は管轄機関の公式情報をご確認ください。
- 相続登記は2024年4月1日から、住所変更登記は2026年4月1日から義務化されています。手続きの詳細は法務局・司法書士にご確認ください。
- 個別具体的な不動産売却・税務・法務のご相談は、宅地建物取引業者・税理士・弁護士・司法書士など各分野の有資格者へのご相談をお勧めします。
- 本記事に記載された金額・期間・条件は一般的な目安であり、お客様の物件・状況により異なります。正確なお見積もりは無料査定をご利用ください。
- 取引事例・実績は実際の案件に基づきますが、お客様情報保護のため詳細は一部加工しています。
宅地建物取引業 千葉県知事第17957号 合同会社明紗
中山 裕章 流山市・柏市・松戸市・市川市の仲介売却を一貫してご担当します。「他社で断られた物件こそ、まずは明紗に」を掲げ、査定根拠100%開示・最短15営業日決済の体制で、流山町丁目の相場感に根ざしたご提案を行っています(大手信託銀行系の不動産部門出身)。一軒に、一つの物語を。
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